【東方SS】愛しのマリィ

2010/2/28に東方創想話に投稿したSSです。
 


『愛しのマリィ』



「だって、男の人って体がおっきくて怖いんだもん」
「河童ともあろうものが何言ってんだよ」

 テーブルの向かい側でもじもじしているにとりに、魔理沙は苦笑しながら言う。

「尻に手ぇ突っ込むのが日常茶飯事なんだろ、お前らって。それが今更人見知りとか、正直ないわ」
「いや、そりゃ誤解だって魔理沙。尻小玉引っこ抜くのは、ありゃなんか霊体的なアレでね、決してお尻の穴に直接腕を入れてるわけでは」
「はいはい。お前のあだ名、今度からアフにとりな」
「アフ、ってなに?」
「AF……いや、忘れてくれ。さすがにちょっとまずいなこれは」

 頬を掻きながらごまかし、魔理沙は本のページをめくる。にとりは不満げな顔で身を乗り出しながら、

「教えてよー。気になるじゃんかー」
「うるさいな。意味なんかないよ」
「おー、魔理沙ってば河童の好奇心ナメてんなー? へん、いいよーだ、今度の宴会のとき賢者様辺りに聞いてみるから」
「止めとけ、あのババァに聞いたら実演されかねんぞ」
「ふむふむ、つまり実演されるとやばいものだ、と……」
「好奇心旺盛だね、お前も」

 魔理沙はからかうようににとりを見て、

「その勢いがありゃ男友達の一人ぐらいは作れるだろ」
「えー、無理だよそんなの」

 にとりはまた身を引っ込めて、両手の指をせわしなく絡めたり解いたりする。魔理沙は呆れてため息を吐いた。

「あのなあ。母親にお見合いさせられそうになって困ってるって相談しに来たのはお前だぜ。いいのかよ、好きでもない相手と一緒にさせられて」

 魔理沙はじろりとにとりを睨みながら言う。実際、彼女が今日魔理沙の家に飛び込んできたのはそういう理由があってのことだ。
 妖怪全般がそうなのかどうかは分からないが、少なくとも河童には人間と同じく、そういう風習があるらしかった。
 にとりは声を詰まらせながら俯き、気まずげに視線をそらしながら、

「わ、わたしはただ断る口実がほしいだけで、他の河童がいいとかじゃ」
「他に相手がいるってのが一番いい口実だろ」
「そうかなあ」
「そうだって。なのにお前と来たら男が怖いとかなんとか」
「あ、男の人だけじゃなくて、知らない人は基本的にみんな怖いよ?」
「ますます駄目じゃないか」
「ごめんよう」

 にとりは気恥ずかしそうに肩を縮める。魔理沙は本を閉じながら、小さく苦笑した。

「ま、お前の人見知りは今に始まったことじゃないけどさ。ひょっとして河童ってのはみんなこうなのか?」
「んー、基本的にはそうかなー。みんな機械とかいじるのに夢中なんさ。で、そればっかりやって生きてる内に、他人と話すってのがどういうことだか忘れていくんよ。技術的な話ならいくらでもできるんだけどね」
「人見知り集団かよ」
「族長からして童貞さんだって噂だし」
「それで大丈夫なのか、いろいろと」

 河童社会が少し心配になってくる。

「しかしまあ、あれだな」

 椅子にもたれかかりながら、魔理沙は感心したように言った。

「妖怪にも結婚だの見合いだの、あるんだねえ」
「あれ、魔理沙ってば狐の嫁入りって言葉を知らないのかい?」
「知ってるけどさ。人間よりずっと長生きなお前らがそういうのやってるって、あんま想像つかないよ」
「長生きって言っても永遠に生きるわけじゃないからね。長い目で見れば人間と似通ってる部分もかなり多いんじゃない?」
「ふうん。そんなもんか」

 どうにも想像がつかず、魔理沙としては首を傾げるしかない。にとりの方は話がひと段落したためか、座ったままきょろきょろと周囲を見回し始めた。

「お、あれは……」

 何か興味を惹かれるものがあったか、椅子から下りてトコトコと歩いていき、蒐集物の山のそばにしゃがみ込んでメモ帳に何やらかきつけ始める。
 現在の魔理沙の住居であるこの「霧雨魔法店」は、一般人から見ればゴミ屋敷としか思えないほど大量の蒐集物に埋もれている。
 しかし、物の価値が分かる者から見れば宝の山と言ってもいい貴重品の在処のはずなのだ。夢中でメモを取っているにとりにもそれが分かるようで、魔理沙としてはなかなか気分がいい。

「ねえ、魔理沙ー」
「なんだ」
「この中にさ、もらってもいい物ってあるん?」
「物によってはな。まあお前には世話になってるし、後でリストにまとめておけよ」
「おー、太っ腹ーっ! よーし、じゃ、これとこれとー……」

 無我夢中で蒐集物を手に取っているにとりの様子は丸きり子供そのもので、確かに見合いなんかはまだ早いかもしれないな、と魔理沙は小さく苦笑する。

「お前が『助けて、魔理沙!』なんて駆け込んできたときは、いったい何事かと思ったよ」
「んー、まあ、悪かったとは思うけどさー」
「他に相談する奴いなかったのか」
「うーん。椛もわたしと同じでそういうのはまだ早いみたいだし、射命丸様に言ったら絶対山中に広まっちゃうし、雛様は『じゃあわたしが身代わりになって結婚します!』とか意味不明なこと言い出すし、静葉様は『結婚は人生の墓場。終焉よねククク』とか言って笑うだけだし、穣子様は『いいから結婚して子作りしろ。繁殖せよ』としか言わないし」
「まるでダメな大人ばっかりだな……」
「でも魔理沙だって急に見合いしろなんて言われたら吃驚するでしょ?」
「勘当中の身だからそんな心配はないぜ」
「たくましいねえ。あ、でもさ。魔理沙だって今のところそういう相手はいないっしょ?」
「まあ、な」

 少々癪だが、そう答えるしかない。相手になりそうなのは一人いると言えばいるが、朴念仁を通り越して若い枯れ木といった有様だ。あれを恋人だのなんだの言い張るのは、我ながら少々情けない感じがする。

「大体、結婚なんてねえ」

 機械らしきガラクタを弄くりながら、にとりがため息を吐く。

「わたしなんて、男の人と手を繋いだこともないのに」
「まあそうだろうな」
「魔理沙もそう?」
「ん、わたしか? わたしは……」

 魔理沙は少し考えてみる。
 例の枯れ木となら何度かそういう経験があるが、まだ里を出る前の幼い頃の話だ。幼子が「パパとお手手つないだー」なんてはしゃいでいるのと大して変わりないし、この場合はノーカウントだろう。
 それで、「ないよ」と答えそうになったが、その瞬間あることを思いだし、

「いや、あるな」
「あるの!?」

 即座ににとりが振り返った。目がまん丸だ。どうやら今の彼女にはこちらの方が興味深いらしい。ガラクタを放り出していそいそと椅子に戻ってくると、ちょっと赤い顔で右から左からまじまじと魔理沙を観察し始めた。

「そっかー、あるんだー。うわぁー……」

 何を想像したか、頬を両手で挟んでもじもじと身じろぎする。魔理沙は顔をしかめた。

「なんだよその反応は」
「いや。だってさ。えへへ」

 締まりのないにやにや笑いを浮かべながら、にとりはちょっと身を乗り出してくる。

「ね。ね。どんな感じだったの?」
「どういう質問だよそれは」
「だってさー。気になるじゃん。相手は誰? いつ頃の話? どんな状況だったの?」
「なんでそんな食いつきがいいの」

 呆れながら、魔理沙は吐息混じりの笑みを漏らす。

「言っとくけど、お前が思ってるようなロマンチックな話じゃないぜ?」
「じゃ、ビタースイートなほろ苦い恋だったんね! ふわー、魔理沙ってば大人ー」
「わたしより数十は歳喰ってる奴が何を言ってるんだよ……」

 ぼやくように言いつつも、まあ隠すようなことでもあるまいと思ったので、

「そうだな。あれはわたしが里を出る少し前ぐらいのことで」

 と、思い出話を始めようとしたところで、不意に入り口のドアがノックされた。
 魔理沙とにとりは顔を見合わせ、

「誰だろ」
「さあ。ここに来るのはアリスぐらいのもんだけどな」
「友達いないんだね、魔理沙」
「お前に言われたくないっつーの」

 苦笑しながら立ち上がり、「あいよ」とぞんざいに返事をしながら入り口のドアを開ける。
 そこに立っていたのは、

「げげっ、人間っ!?」

 どこか懐かしい台詞を口走りながら、「しかも男っ。うわわわっ」と情けない悲鳴を上げて、にとりが転げるように家の奥へと逃げていく。
 その騒がしい音を背に、魔理沙は無言で突っ立っていた。
 言葉が出ない。
 目の前にいる精悍な顔つきをした青年は、そんな魔理沙を見て少し戸惑ったように目を細めたあと、

「久しぶり、マリィ」

 と言って、ぎこちない笑みを浮かべた。



「久しぶりだよな、ホント。お前が里を出て行ってから、何年振りだっけ」
「さあ。もう十年近くは経ってるんじゃないか」
「そうか。長いよなあ」

 立ち話も何だから、と家の中へ誘うと、青年は素直に従った。
 今はさっきまでにとりが座っていた椅子に座り、魔理沙が淹れた茶に時折口をつけている。
 会話は少なく短めで、途切れ途切れだ。魔理沙の方では何を話したらいいものか分からないし、青年の方もなかなか核心に触れようとしない。
 結局、「にしても汚い家だな」だの「いろいろと噂は聞いてるけど」だのと言った、下らない世間話に終始している。

(魔理沙、魔理沙)

 不意にすぐそばでにとりの声がした。ぎょっとして振り向いたが、誰もいない。
 しかしまたすぐに、

(あ、今光学迷彩使ってんよ)
「なんでだよ」
(だって、恥ずかしいんだもん)
「またそれか」
(ね、ね、それよりさ、この人誰よ?)
「里にいた頃の友達だよ。タロってんだ」
(うわー、じゃあタロとマリィって呼び合う仲だったんね!)
「そうだけど。何一人で盛り上がってんだ、お前」
(だってさー。じゃあ昔は仲良く遊んだりしたん?)
「まあな。里中走り回ったり、どんぐりのお金で商売ごっこしたり」
(じゃあ幼なじみなんだ! あ、さっき言ってた手を繋いだ人間ってこの人!? おー、フラグもばっちりじゃん!)
「どうやらお前の恋愛観について、後でじっくり話し合う必要があるらしいな」
「マリィ?」

 呼ばれて振り向くと、青年が不思議そうな顔でこちらを見つめている。

「さっきから一人で何喋ってるんだ? 誰かそこにいるのか?」
「ああ。ここに技術者で人見知りでそのくせ乙女チックな河童が」
(うわ、ふわぁっ、ちょ、ばらさないでよぅ!)

 慌てふためいた声と共に、またにとりが駆け去っていく靴音がする。だが逃げる途中で蹴つまづいたらしく、収拾物の山が崩れて短い悲鳴が上がった。
 何やってんだ、と魔理沙が呆れていると、テーブルの向こう側からおかしそうな含み笑いが聞こえてきた。青年が堪えきれないように口元を押さえている。

「なんだよ」
「いや、悪い悪い」

 青年は笑いを引っ込め、それでもまだどこかおかしそうな表情で、

「なんか、マリィらしいと思ってさ。河童と友達なのか」
「ああ。ちょっと前に知り合ってな」
「そういえばさっき、誰か家の奥に逃げてったもんな。他にも妖怪の友達がいるのか?」
「妖怪どころか神様とだって知り合いさ」
「へえ。凄いんだなあ、お前」

 感心したように目を丸くする青年に、魔理沙は「別に、凄くなんかないよ」と小さく答える。青年は困ったように目を瞬いた。

「なんか、マリィにしては謙虚じゃないか」
「そうか? ま、これだけ月日が経てば人間多少は変わるもんだろ」
「そうかもしれないけどさ」

 納得いかないように呟く彼の姿だって、魔理沙から見れば大分変わっている。
 昔はどちらかと言えばひょろりとした色白の少年だったが、今の彼の顔は日に焼けたような赤色。肩幅はがっしりとしていて、二の腕にはたくましい筋肉が見える。そういえばこいつの家は鍛冶屋だったな、と魔理沙は何とはなしに思い出した。

「ところで、鍛冶屋修行は順調か?」
「まだまださ。毎日親父に怒鳴られてるよ」
「おっかない親父さんだったもんな。わたしも何度げんこつ喰らわされたことか」
「マリィの場合は洒落にならないイタズラを何度も繰り返してたからだろ。そのたび俺まで巻き込みやがって」
「お前だってノリノリだったじゃんか」
「自分勝手に思い出を書き換えるなよ。俺はいつもお前に引きずられてただけだっての」
「あー、そういや毎回泣きべそかいてた気がするな、お前。わたしより年上のくせに」
「二つだけだろ。大体、お前は一発げんこつ喰らって帰ればいいけど、俺はその後もあの親父と一緒なんだぜ?」
「わたしだって帰ってから尻に百叩き喰らってたさ」
「それで止めないお前が凄いよ」
「懲りない性格だからな」
「知ってるけどさ」

 青年は小さく笑う。そうすると、十年近く前に別れたきりだった気弱な少年の面影が、精悍な顔立ちの向こうに垣間見える。魔理沙は懐かしい気持ちになった。
 故に、少し居心地が悪い。

「……で」

 意識して声色を変えながら、魔理沙は対面の青年をじっと見つめた。

「今日は、何の用で来たんだ。まさかこんな思い出話をするためじゃないだろ」
「あ。ああ、まあな」

 青年も笑いを引っ込め、居住まいを正す。
 そうしてから、やや躊躇いがちに言った。

「ちょっとな。護衛を頼みたいんだよ」
「護衛?」
「そう。そういうの引き受けてるって話を聞いてさ」

 それは確かに事実だが、それなら里の妖怪退治屋にでも依頼すればいい話のはずだ。
 魔理沙は奇妙に思いながら問いかける。

「どっか遠出すんのか、お前」
「遠出、と言えば、まあ遠出かな」
「どこまで?」
「それは、その」

 青年は言い淀んで視線を泳がせ、やや迷った後、

「この森の、奥まで」
「はぁ?」

 魔理沙は眉根を寄せた。

「……勝手に行けばいいだろ、そんなん。明るい内ならそんな危険でもないぜ? まあ瘴気対策ぐらいはしなくちゃならんだろうけど……そもそもここまで一人で来たみたいだしな、お前」
「いや、そうかもしれないけどさ。頼むよ、マリィ。もちろん、ちゃんと報酬は払うし」
「そりゃ当然だが……なんか、特別な用事でもあるのか?」
「いや、そういうのはないけど」
「じゃあなんだ。まさか散歩ってわけでもないんだろう?」
「そこまで気楽なもんではない……と思う。ともかく、頼むよ」

 青年はなおも食い下がる。魔理沙としては格別断る理由もないのだが、彼の目的が気になるところだ。

(まさか、わたしを何かの罠にはめようとして……?)

 一瞬脳裏を掠めたその発想を、魔理沙は一笑に付した。人里の鍛冶屋が森の魔法使いを罠にはめて何か得るものがあるとも思えないし、陰謀事にしては頼み方が不器用すぎる。少なくとも、引き受けたところでこちらに不利益がある話では話さそうだった。
 となれば、彼は一体どういうつもりでこんな話を持ちかけてきたのか。

(魔理沙、魔理沙)

 いつの間に戻ってきたのか、また耳元でにとりの声が。

(これってひょっとして、でーとのお誘いってやつじゃないんかな)
「おい。さっきからなんだよ。頭をリリーにやられたか、お前」
(だってさー、二人はタロとマリィって呼び合う仲なんだし、明らかにそういうのじゃないん、これって?)
「違うと思うけどな。ずっと前から話一つしてないし……大体デートするような雰囲気のいい場所か、この森が」
(吊り橋効果ってのがあるじゃない。あ、なんだったらわたし、歩いてる途中の二人に襲いかかってあげようか? そんで魔理沙がわたしを撃退して、二人の仲がさらに深まる感じで)
「古典的な奴だなお前も。っていうか男女の役割が逆だろそれは」
(外の世界ではじぇんだーふりーってのが流行らしいよ!)

 にとりとしてはどうしてもそっちの方向に話を持っていきたいらしい。こんな奴だったかなあ、と魔理沙は内心苦笑する。いや、今までそういう話をしてこなかっただけで、元々そういう願望の強い娘なのかもしれないが。
 ともあれ、青年の雰囲気から察して、そういう話でもないことは明らかだった。
 何より、こうしてにとりと馬鹿な話をしている内に、魔理沙の脳裏に思い浮かぶ光景がある。

 それは、もう十年近くも前のこと。
 今より幼い自分と目の前の青年とで、この森にやってきたことがあった。
 一人は好奇心に目を輝かせ、もう一人は怯えて身を縮こまらせながら。
 繋いだ手と、一つの言葉。

 ――絶交だからなぁ!

 多分、あの出来事が何らかの形で関係しているのだろうと、今は理解できる。

「分かった」

 魔理沙はため息を吐くように言った。テーブルの向こうで押し黙っていた青年が、驚いたように顔を上げる。
 魔理沙は一つ頷きかけながら、

「引き受けるよ。一緒に行ってやる」
「本当か?」
「ああ。魔理沙さんは嘘を吐かないんだぜ」
(それが嘘じゃん)

 姿を消したまま、にとりがぼそりと言った。



 魔法の森は大概昼でも薄暗い上に湿っぽく、漂う障気のせいもあって何とも言えず陰鬱な雰囲気に包まれている。
 そんな森の中を、魔理沙と青年は少しずつ奥へと向かっていく。

「よくこんなところに住んでいられるよなあ、マリィは」

 青年が薄気味悪そうに周囲を見回しながら言う。
 魔理沙は首を横に振り、

「別に、慣れればどうってことないよ」
「そうか? 俺はお前の家にたどり着くまでの間だけでも相当に気分が悪くなったんだが」
「そりゃ、あの辺でも空気は大分悪いからな。ああ、あまりわたしから離れるなよ」
「なんで?」
「今はまだいいけど、もっと奥まで行けば胞子の濃さも段違いだ。わたしが周囲に結界張ってるから平気だけど、そこから出ちゃったら下手すると一分も経たない内に気が狂うぜ」

 魔理沙が淡々と言うと、青年は怯えたように周囲を見回し、少し身を近づけてきた。

(うわぁ、凄いなぁ、やり方が上手いなぁ)

 感心したようなにとりの声を、魔理沙は努めて黙殺する。ひょっとしたらこいつはもう胞子にやられているんじゃないかとすら思ったが、とりあえず放っておくことにした。
 そうしてしばらく歩いたところで、

「ああ、この辺りだ」

 不意に、青年がぴたりと足を止めた。魔理沙も無言で足を止め、周囲を見回す。
 何か目印になるものでもあったろうか、と思ったら、青年は道ばたにある少し大きな岩を指さした。緑色に覆われているその岩肌に目を細めながら、

「ほら、あの岩のところで休んだろ。苔でヌルヌルしてて気持ち悪くってさ」
「ああ。そうだったな。あのときも泣きべそかいてたっけ、お前」

 魔理沙が何とはなしにそう答えると、青年は意外そうに目を丸くした。

「覚えてたのか、マリィ」
「お前が来るまでは忘れてたよ。頻繁に思い出すようなことでもないし」
「そうか? 俺はたまに思い出してたよ。それで、マリィは今どうしてるだろうなって思ってた」
「そりゃ、ありがたいね」

 魔理沙は帽子のつばを引っ張り、表情を隠す。「先を急ごうぜ」と呟き、青年を先導するように歩きだした。

 魔理沙が青年と共にこの森を訪れたのは、人里を出るより少し前ぐらいの時期だった。
 今思うと、妖怪の恐ろしさをよく知っている郷の子供としては随分無謀なことをしたものだと思う。現に他の友達はついてこなかったし、当時の青年だって真っ青な顔で震え上がり、今にも小便を漏らしそうなほど怯えきっていた。
 欠片の恐怖もなく好奇心に目を輝かせていたのは、魔理沙だけだ。その頃の友達からはマリィと呼ばれていた、無鉄砲で愚かな子供。
 二人は手を繋いで、どんどん森の奥へと進んでいった。悪霊が住んでいるという噂があった家を通り過ぎ、あの岩で一休みして、もう帰ろうと泣きじゃくる太郎を引きずるように歩きながら、魔理沙は少しの迷いもなく森の奥へ向かって突き進んだ。
 そこまでして何を目指していたのか何に惹かれていたのか、今となっては少しも覚えていない。
 ただ、何かがあったのだと思う。何かが見たかったのだと思う。
 だから何の迷いもなく、魔理沙はひたすら前へと進んだのだ。
 マリィと呼ばれていた頃から、霧雨魔理沙はどうしようもなく霧雨魔理沙だった。



「……でも、途中でとうとう嫌になっちゃったんだよな、俺」

 今、あの頃よりはずっと大人になった太郎が、それでも若干顔を青くしながら言う。

「もう嫌だ、帰ろう帰ろうって泣きわめいてその場にうずくまってさ。一歩も動かなかったっけ」
「そうだったな」
「この辺りじゃなかったか?」
「どうだっけ。よく覚えてないな」
「だろうな。周りなんか見てなかったもんな、マリィは」

 青年は苦笑してから真顔になって、

「今でもそうか?」

 魔理沙は答えない。

「あの頃一緒に遊んでた連中、もうみんな立派に働きだしてるぜ」

 ただ、前に向かって歩く。

「お前の親父さんだって、心配してるしさ」

 脇目も振らず、行くべき場所だけを見つめて。

「ずっと帰ってこないつもりなのかよ、マリィ」
「知らないよ、そんなことは」
「お前な」
「あんまり喋るなよ、タロ」

 魔理沙は努めて穏やかな口調で遮った。

「絶交してるんだろ、わたしたちは」

 青年が息を飲み、声を詰まらせる。
 ややあって、

「そうだけどさ」

 ふてくされたような口調でそう呟いた。



 彼が泣きわめいてその場から動かなくなったとき、自分が何をどう考えたのか、魔理沙はもうよく覚えていない。
 ただ、彼と前方とを交互に見比べて、まだ道が続いているのを見て取ったとき、気づけば無理矢理手をふりほどいて、一人で歩きだしていたのだった。

 ――待て、待ってよ、マリィ!

 彼の泣き声が聞こえてきても。

 ――置いていくなよぉ! 友達だろぉ!

 その言葉が足に絡みついても。

 ――絶交だぞ、絶交だからなぁ!

 少しだけ胸が痛もうとも、決して足を止めようとはしなかった。



「そういやお前、あの後どうしたんだ?」
「今更それを聞くか?」

 青年が呆れたように顔をしかめ、答える。

「どうしたもこうしたも。お前が行って一人になっちまって、怖くて怖くてたまらなかったからな。ともかくもう、無我夢中で走って帰ったよ。妖怪に会わずに済んでよかったよな、お互い」
「ああ。まあ、そうだな」

 魔理沙が曖昧に答えを濁したのに気付かなかったらしく、青年はむしろ楽しそうに続ける。

「それで里に帰ってから、予想通りこっぴどく叱られてさ。夕暮れ前にはお前が帰ってきたから良かったようなものの、あれで妖怪に食われでもしてたらどうなってたことか」
「似たようなことにはなったけどな」
「なに?」
「いや、なんでもないよ」

 それきり口を噤み、二人はしばらく無言のまま歩き続けた。
 もう、森の大分深いところまで足を踏み入れている。頭上は伸び放題の木々にほとんど覆い尽くされ、まばらに届く日差しは糸よりも細い。障気だって、慣れている魔理沙でも結界を出たら危ういほど濃くなってきている。にとりの声も聞かなくなって久しいが、彼女はついてきているのかどうか。妖怪だって、こんな場所にはそう長くはいられないだろう。
 本当に、あのときのマリィはよくこんなところまで来たものだと思う。

「今日、ここに来たかったのはさ」

 ぽつりと、青年が呟く。

「あの日、マリィが何を見たのか知りたかったからなんだ」
「わたしが?」

 問うと、青年は「ああ」と頷いた。

「お前、あの後ほとんど会えないまま、少ししてから里を出て行っちまっただろ。誰の制止も聞かずに。それが不思議だったんだ。昔から無鉄砲な奴ではあったけど、そこまでするほどじゃなかったからな」

 どこか遠くを見るように、青年の目が細められる。

「だから、ずっと思ってたんだ。きっとマリィはあの日、俺と別れたあとに森の奥で何かを見て、それに惹かれて里を出ていったんだろうってさ。ずっと、それが何かを知りたかった」
「でも、今までは来なかったよな」

 魔理沙が言うと、青年は「ああ」と素直に頷いた。

「またこんなおっそろしい場所に来なけりゃならないと思うと、怖くてさ」
「なのに今日来たってことは……なんか、心境の変化でもあったのか?」
「もうすぐ結婚するんだ、俺」
「けっ……!?」

 出し抜けに予想もつかないことを言われて、魔理沙は思わず足を止めた。しかし青年は止まらず進み続けるので、離れてはまずいと慌てて追いかける。
 青年の隣に並びながら、

「結婚って、お前。いくらなんでもちょっと早いんじゃ」
「俺の年ならそんなでもないさ。ずっと好きで付き合ってきた奴が相手で、あっちも俺のこと好きでいてくれるみたいだし」
「でも、タロ……お前、鍛冶屋の腕だってまだ半人前なんじゃないのか?」
「そうだけどな。でも、向こうの祖母さまがそろそろ逝っちまいそうでさ。三途の川の船頭に、きれいな花嫁さんになった孫娘の自慢話を聞かせてやりたいんだと」

 青年はおかしそうに微笑み、

「そんなこと言われたら、お前……気張るしかないだろ、男としては」
「分かるけどさ」

 魔理沙は戸惑い、歩みを止めないまま隣の青年の横顔を盗み見る。
 今そこにいるのは、真っ直ぐに前を見て進む、見知らぬ青年だった。あの日自分に手を引かれながら泣きじゃくっていた、途中でうずくまって一歩も動かなくなってしまった幼いタロの面影は、もうどこにもなかった。
 あの頃マリィと呼ばれていた少女が、今はもうどこにもいないのと同じように。

「ずっと、あの日のことが心残りでさ」

 青年は語る。

「もしもあの日、俺がマリィを止められていたら、マリィは里を出ていかなかったのか。あるいは俺が立ち止まらなかったら、俺もマリィと一緒に里を出ていたのか。どうしても、それが知りたかった」
「もしも、なんて言ったって仕方がないだろ、それは」

 魔理沙が呟くように言うと、青年は苦笑した。

「分かってるさ。だからこれは俺の自己満足だ。それでも精一杯、勇気振り絞ったけどな」
「そうか。今でもここは怖いか?」
「ああ、怖いね。暗いし湿っぽいし……正直、こんなとこに住んでるお前の神経が信じられん」
「わたしにとっては怖くも何ともないよ。ここに来るのだって、散歩するのと大して変わらないしな」
「……そうか」

 青年はため息を吐くように言って、それきり黙り込んだまま歩き続けた。



 そうして、もうすぐ日も暮れようかという頃になって、二人はその場所にたどり着いた。

「ここだ」
「なに?」

 魔理沙に合わせて立ち止まった青年が、戸惑ったようにキョロキョロと周囲を見回す。

「ここって、なにが?」
「あの日、わたしはここまで来たんだ。でも、さすがにこの障気だ。ここまでが限界で、気を失って倒れてしまったんだよ」
「でもだって、お前」

 青年は納得がいかないように眉をひそめ、またじっくりとその場所を見つめた。
 そこは今まで続いてきた道の行き止まりだった。誰が何の目的で作ったかも分からぬ、獣道が終わる場所。小さな広場のように切り開かれていて、情緒的な人間であれば妖精の集会場か何かのように感じるかもしれない。
 しかし、

「ここには何もないじゃないか」
「そうだよ」

 魔理沙はあっさりと答えた。青年が驚いたように目を見開き、こちらに振り返る。
 魔理沙は鼻を鳴らして笑った。

「ここには何もないんだ。あの頃……多分誰かが、魔法の森の道の先に何かがある、みたいな噂を流して、わたしたちはそれを信じて探検に来たんだろうが……実際には、何もなかったわけだな。嘘だったんだよ、噂は」
「でも。それじゃあ、おかしいじゃないか」

 青年は首を振る。

「だったらどうして、マリィはあの日以来変わっちまったんだ? 何に惹かれて里を出ていったんだ? 何を目指して、こんなところで」
「知りたいか?」
「ああ」
「わたしが目指したのは、あそこさ」

 魔理沙が指さした方向に、青年が顔を向ける。だがそこには鬱蒼とした魔法の森の木々が広がっているだけで、道はおろか少し先の光景すら見通せない。

「何も見えないぞ」
「そう。だから、行ってみたくなったんだ」

 魔理沙は目を細め、あの日を懐かしく思い返す。
 瘴気に意識を朦朧とさせながらたどり着いた、この場所。何もないと落胆しながら、しかし意識を失う直前、何かを見つけた気がしたのだ。
 それで思った。まだ先がある。先へ行ってみたい、と。
 だから魔理沙は、ここにいる。

「ここで暮らすようになって、実際何度か奥へ行ってみたんだがな。まだまだ探検し尽くしたとは言えないんだよな、これが。奥の方じゃもちろん道はないし、それどころか木の上に木が生え重なって天然の洞穴みたいになってんだよ。知らないキノコも植物も無闇やたらに生えまくっててさ。一回採集して帰ったら、『こんなの魔界でも見たことない』ってアリスが言ってたし、わたしの考えだともっと奥では他のどこでも見られない生態系が築きあげられているに違いないと」

 魔理沙が夢中で喋くっている途中、青年が力つきたように膝を突いた。
 まさか結界が緩んでいたか、と慌てながら魔理沙が駆け寄ると、「いや、大丈夫だ」と力のない答えが返ってくる。
 魔理沙は「そうか」と息を吐きながら、ふと森の奥へと目を向け、

「それで、どうする? まだ奥へ行ってみたいって言うんなら、もうちょっとぐらいは」
「いや、もういい。もう十分だ」

 青年は疲れたようにため息を吐き、

「俺にはここら辺が限界だよ。ありがとうな、マリィ」



 そうして二人は来た道を戻り、魔法の森を抜けて街道を辿り、人里の近くまで戻ってきた。辺りはもう大分暗くなっていたから、青年を一人で帰らせて妖怪に襲われでもしたら大変だと考えたのだ。

「ここまでで大丈夫だ」

 街道の途中、人里の灯りを遠くに望む場所で、青年が立ち止まって振り返った。
 そうは言うが、里の入り口まではまだ少し距離がある。魔理沙は戸惑い、

「本当に大丈夫か? 何なら家まででも」
「俺はこれでも結婚間近の男だぞ。見知らぬ女と一緒に帰ってきたところを誰かに見られたらどうすんだ」

 青年が冗談めかして言う。見知らぬ女ね、と魔理沙が内心苦笑すると、彼は穏やかに目を細めて言った。

「それにさ。親父さんと会いでもしたら、いろいろ都合が悪いんじゃないのか、マリィ」
「え」
「帰るつもり、少しもないんだろ」

 真っ直ぐに見つめてくる青年の視線を、魔理沙は正面から受け止める。「ああ」と力強く頷くと、「そうか」と、青年は苦笑した。

「なんだかな。よく分からないな。そんなにいいもんかね、あそこでの生活は」
「生活してみないと分からないよ」
「そうかもしれないけどな」

 青年が眉根を寄せているので、魔理沙は肩を竦めた。

「別に納得してもらわなくてもいいよ。お前が知ってるマリィは、あの日魔法の森のキノコにやられて気が狂っちまったのさ。そういうことにしておくといい。他の奴にとっては、その程度のことでいいんだ」
「……そうだな。そういうことにしておこうか」

 赤黒く燃える空から肌寒い風がやってきて、二人の間を吹き抜けていった。肩を縮めて身を震わせる青年を、魔理沙は身じろぎもせず見つめる。
 やがて青年はかすかに微笑み、懐から何か小さな袋を抜き出すと、魔理沙に向かって放り投げてきた。
 受け取ると、手のひらに金属の重みが伝わってきた。

「これは?」
「報酬だよ。護衛の」
「ああ、そうか」

 袋の中身をのぞき込みながら、魔理沙は笑みを漏らす。

「意外だな。わたしはまたどんぐりのお金でもくれるのかと思ってたぜ」
「そんな歳じゃないだろ、お互い」
「まあ、な」
「なあ、マリィ」

 ふと、青年が穏やかな声で呼びかけてきた。顔を上げたが、彼の表情は暗くてよく見えない。

「知ってたか。俺さ、あの頃、お前のこと」

 言いかけて、青年は首を振る。何も言わずにこちらに背を向けた。

「おい、言いかけて止めるなよ」
「うるさいな。お前とはもう口を利かん」
「なに? なんだよ、いきなり」

 青年は立ち止まり、振り返らないまま、

「絶交してるんだろ、俺たちは」

 吹き付けてくる風の中でも、その声はしっかりと魔理沙の耳に届いた。
 小さくため息を吐き、唇を引き結んで、魔理沙もまた彼に背を向ける。

「ああ。そういや、そうだったな」
「さよならだな、マリィ」
「ああ。永遠にさよならだ、タロ」

 そうして二人は別れ、一度も振り返ることなく、正反対の方向へ向かって歩きだした。

 ――一つだけ、あの青年に話していないことがあった。
 あの日気を失って倒れてしまった魔理沙が、その後どうやって里まで戻ってこれたのか。
 実を言えば、当時魔法の森のあの家に住みついていた悪霊に助けられ、森の外まで送ってもらったのだ。魔理沙があのすぐ後に里を出たことには、その悪霊の存在が大きく関わっている。
 ただ、それを話してまたあの青年の心に妙な引っかかりを残してはいけないと思って、魔理沙は言わなかった。
 それに、話したところで意味がない。
 たとえあのとき悪霊に出会わなかったとしても、魔理沙が今ここにいるという現実はそう大きくは変わらなかっただろう。 
 「まだ先がある」「そこへ行きたい」と思ってしまったその瞬間から、里の少女マリィはどこにもいなくなってしまったのだから。



「あ、おかえりぃ、魔理沙」

 家に帰ってみると、なにやらふやけた表情のにとりがテーブルに突っ伏して出迎えてくれた。
 その締まりのない笑顔を見ながら、魔理沙は眉をひそめる。

「なんだその顔は。っていうか、どこ行ってたんだ、お前」
「いやー、途中まではお二人さんについていってたんだけどね?」

 にとりは照れくさそうにもじもじしながら、

「あの岩のそばで思い出話が始まった辺りで、もうなんか恥ずかしくなってきちゃってさ。ずっとここで待ってたんよ」
「どうやらお前への認識を改めなくちゃならんみたいだな、わたしは」

 魔理沙はうんざりとため息を吐きながら、にとりの対面に腰掛ける。
 河童の少女は目を輝かせながら身を乗り出してきて、

「で、で、どうだったん!?」
「何が」
「だってさぁ、やっぱわたしの予想通りだったみたいだしさぁ。あの後どんな話したん、ねえ?」
「どんな話、ねぇ」

 さっきもらった小さな袋を手で弄びながら一つ息を吐き、

「ま、大人の話ってところかね」

 にとりが歓声を上げるそばで、魔理沙は一人ほろ苦い微笑を浮かべた。



 <了>
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