【東方SS】図書館では静かに

pixivに投稿した、パチュリーと大妖精のちょっとやらしいSSです。
 

 
『図書館では静かに』



 読書に没頭しすぎるのが貴女の悪い癖よ、と親友にはよく言われるのだが、パチュリー・ノーレッジはこれを改めようと思ったことが一度もなかった。
 だから毎度毎度コソ泥に本を盗まれるのだ、と言われると多少不愉快な気分にはなるが、そんな些事で読書を中断させられることの不快さに比べれば大した問題ではないと思っている。
 そんな訳でその日も読書に没頭しきっていたパチュリーは、一冊の本を読み終わってふと顔を上げるまで、その珍しい客が机の前に立っていたことに全く気づいていなかった。

「こ、こんにちは」

 緊張した面持ちでペコリと頭を下げる少女に、パチュリーは好感を持った。
 相手の読書が終わるまで大人しく待っている、という奥ゆかしさは、幻想郷の少女全般に欠けている美徳である。

「ええ、こんにちは。館のメイド妖精ではないわね?」
「は、はい。あの、私、霧の湖の近くに住んでる妖精で、皆からは大妖精って呼ばれてます。よろしくお願いします」

 大妖精、と名乗ったその少女は、また深々と頭を下げる。その背の透き通った羽と共に、サイドで結わえた緑髪がそっと揺れたとき、パチュリーにとっては嗅ぎなれない匂いがかすかに漂ってきた。

(草花の匂いだわ)

 そういえば前に館を出たのはいつだったろう、というどうでもいい疑問が浮かんですぐに消えた。
 代わりに、山野を舞台にした絵本や文学、詩集の記憶が瞬く間に心の奥から溢れてくる。
 大妖精の持つ雰囲気はそういった思い出を誘発するほどに清らかで素朴なものだった。怠惰の味を覚えて悪い意味で擦れてしまった館の妖精メイドからは失われて久しい匂いである。

「……図書館にいるような子じゃないわね、貴女」
「す、すみません、本はあまり読んだことがなくて……」

 パチュリーの言葉を違う意味でとらえたのだろう、大妖精は頬を赤らめて身を縮める。
 その微笑ましい様子に素朴な印象はますます深まったが、同時になぜか背筋がぞくりとするのを感じた。

「それで、ここに何か用? 妖精が好きそうな本はあまりないのだけれど」
「あ、いえ、そうじゃなくてですね。この間道ばたでこんな本を拾ったんですけど、読めなくて」

 と言って大妖精が差し出してきたのは、一冊の小説であった。この図書館にも置いてある本で、挿し絵つきの冒険小説の類だ。さほど難解な内容ではないが、それでも妖精が読むには少しばかり難しいだろうな、というのがパチュリーの評価である。

「拾ってから妖精のお友達と一緒に読んで……あ、文字まで読めた子はいないので、挿し絵を見てこういう内容だろうって皆で想像し合っていたんですけど、意見が合わない子同士で喧嘩になっちゃって」
「それで、正確な内容が知りたくなったというわけね?」
「はい。このお館に本がたくさん置いてある場所があるって聞いたのを思い出して、美鈴さんに頼んだら入れて下さったので」
「で、私に読んでほしいと?」

 パチュリーはある種の期待を込めてそう聞いたのだが、大妖精は慌てて両手を振った。

「い、いえそんな、読書のお邪魔をする気はないんです。ただ、字の読み方が分かる本とかあったら読ませて頂きたいな、って」
「……そういうことね」

 他人の力を借りるのは最低限のことまでで、後は自分の力で何とかする。妖精は言うに及ばず、人間辺りの基準からしても礼儀正しく、殊勝な態度だ。
 しかし、パチュリーは感心よりも落胆の方を強く感じていた。そんな感情に自分で戸惑いながら、努めて表情を変えずに立ち上がる。

「ついてらっしゃい」
「は、はい」

 慌ててついてくる大妖精を従えて、各種辞書の収まっている区画に向かう。司書の小悪魔が長期の里帰り中なので、こういうことも自分でやらなくてはならない。
 そういうことに先程までは不便さしか感じなかったのだが、呆気に取られたように本棚を見上げている大妖精が隣にいると、むしろ小悪魔がいなくて良かったとすら思ってしまう。
 本人から聞き出した理解度に合わせた辞書を選び出し、簡単に引き方を教えると、大妖精は嬉しそうに笑って頷いた。

「ありがとうございます、これなら大丈夫そうです」

 大妖精が頭を下げると、また緑の髪が揺れて草花と太陽の匂いが漂ってくる。
 それを嗅いだとき、やはり隣に座らせて読んでやるべきだった、という後悔が胸にわき上がってきたが、パチュリーは気づかぬ振りをして自分の机に戻った。
 そうして読書を始めると、大妖精は妖精とは思えぬほど理解力の高い少女で、持ってきた冒険小説はその日の内に読破してしまった。
 また本を読み終えたパチュリーが顔を上げると、机の前に立っていた大妖精が待ちかねたように喋り出した。

「さっき読み終わったんですけど、凄かったです! 妖精のお友達の誰も予想してなかった結末で、もう読んでて興奮しちゃいました! 早く戻って皆に話したいなって私」
「図書館では静かに」

 パチュリーがそっと注意すると、大妖精は「あっ」と気づいたように声を漏らして肩を縮めた。

「す、すみません、あんまり面白かったから、つい」
「まあ、いいけどね。読書は楽しかった?」
「はい! あ、ごめんなさい……」

 大妖精は元気良く返事をしてから、口元に手をやって恥ずかしそうに俯く。
 その純朴な仕草一つ一つに、パチュリーはどうにも胸がざわつくのを感じる。最初にこの少女から漂う草花の匂いを嗅いだときの背筋の震えと同種の感情のように思うのだが、その正体が自分でも判然としなかった。

(もしかしたら、分からない方がいいのかもしれない)

 何となく、そう思う。

「……ともかく、これで目的は果たせたわけね」
「あ、はい。そう、ですね……」

 どことなく名残惜しそうな大妖精に、どうせなら他の本も読んでいくか、などと言いかけて、口を閉じる。
 パチュリーはかすかに首を振り、また次の本に手を伸ばしながら素っ気なく言う。

「じゃ、気をつけて帰りなさいね」
「……はい。お邪魔しました」

 大妖精がぺこりと頭を下げて、音を立てぬように気をつけているのであろう静かな足取りで立ち去っていく。
 日向の妖精が消えた後で、そっと呼吸してみると、いつもの紙とインクの匂いの中にわずかながら草花と太陽の匂いが残っているような気がした。

「……元々、私には縁遠いものなのだから」

 言い聞かせるようにそう呟いて、パチュリーは次の本を開いた。

 ◆

 翌日からはいつもと変わらぬ日々が戻ってくるのだろう、とパチュリーは予想していたのだが、そうはならなかった。
 また本を読み終えたときかすかにあの匂いを感じたので、まさかと思いながら顔を上げると、はにかむような微笑を浮かべた大妖精が机の向こうに立っていた。

「パチュリーさん、昨日はありがとうございました。皆、結末が分かって喜んでました」

 囁くようなその声に、また背筋がぞくりとする。
 それが表情に出ないように気をつけながら、パチュリーは聞いた。

「そう。それで、今日は何の用?」
「あ、あの、良かったら他の本も読ませて頂きたいなって……私、本があんなに面白いって、今まで知らなくて」

 もじもじしながらそう言う大妖精に、背筋の震えがいよいよ大きくなってくる。
 パチュリーは小さく息を震わせながら、

「いいわよ。好きにしなさい」
「本当ですか! あ、すみません」

 大妖精はまた口を手で覆って、申し訳なさそうに言う。

「図書館では静かに、ですよね」
「……ええ、そうね」

 努めて抑えた声で言い、無言で読書に戻る。
 大妖精が一礼して去ったとき、また草花と太陽の匂いがして、我知らず胸が高鳴った。

 ◆

 その日以来、大妖精が図書館で本を読んでいる姿はごく当たり前のものとなった。
 それと同時に、パチュリーの読む本の種類は著しく偏り出した。大妖精がいつも同じ机に座るために、その辺りの区画にある本ばかり読むようになったためだ。
 ある意味で妖精らしく夢中になって本を読んでいる少女のそばを通るとき、パチュリーはそっとあの匂いを嗅ぎ取り、そのたび何とも言えない感覚を味わった。奇妙に背筋を震わせるそれは恐怖心のようでもあったが、多幸感のようでもある。いずれにせよ、自分がその匂いにどうしようもなく恋い焦がれていることだけは事実だった。
 本来であれば自分のような日陰者とは縁遠いはずの日向の匂いに、どうしてこうも心惹かれているのか、パチュリーには分からなかった。それを求めて外に行こうという気には全くならない辺り、陽光や山野などの自然そのものに焦がれているのでないことだけは確かなのだが。

「今日もお世話になりました」
「気をつけて帰りなさい」

 半ばお決まりとなったやりとりを交わして、大妖精が静かに去る。
 その残り香を嗅ぎ取るたびに胸の奥で何かが膨れ上がっていくのが分かったが、その正体までは未だ判然としなかった。

 ◆

 大妖精はパチュリーほどの読書狂ではないので、たまには図書館に来ない日もあった。
 そういう日、読書の合間にふと大妖精の指定席を見ると、パチュリーの脳裏に自然とある像が浮かんでくる。
 外の湖畔、柔らかな草の上に座って、小さな妖精達に囲まれている大妖精の姿。あの淑やかで優しい性格であれば、きっと仲間にも好かれているのだろう。それこそ、惜しみなく日差しを降らせる太陽のように。
 それは全く根拠のない想像に過ぎないのだが、思い浮かべるたびに期待とも不安ともつかぬ感情で胸がいっぱいになり、ほとんど息苦しくなるほどだった。
 そうしてまた息苦しさを覚え、椅子に身を沈めて長い間目を閉じていたとき、パチュリーはふとあの匂いを嗅ぎ取り、驚いて目を開けた。
 机の向こうに、緑の髪の少女が立っている。

「あ、ごめんなさい、起こしちゃいましたか?」
「……魔女に眠りは必要ないわ。少し、考え事をしていただけ」

 取り繕うように言いながら身を起こしたとき、パチュリーは大妖精が一冊の本を抱えていることに気づいた。

「その本は?」
「あ、えっと……そこの机に乗っていたんですけど」

 そう言って彼女が指さしたのは、指定席ではない机だった。確かその席には、少し前までレミリアが座って楽しそうに何か読んでいたはずである。
 今はそのレミリアもいない。どうやら、パチュリーがいない間に大妖精と入れ替わりで立ち去ってしまったようだ。読んでいた本を片づけもせずに。

「全く、レミィと来たら……妖精の方がよっぽど行儀がいいわ」
「あはは……それじゃあ、これはお返ししますね」
「ええ。とりあえずここに置いて……」

 言いかけて、パチュリーは硬直した。
 大妖精が何気ない仕草で机の上に置いたその本は、少女が読むには少々刺激的過ぎる内容の、いわゆるポルノ小説の類である。
 確かに、数は少ないながらこの図書館にもそういう本は置いてある。置いてはあるが。

(ニヤけた顔で何読んでるのかと思ったらあのマセガキ……!)

 実年齢では自分よりもだいぶ上の親友に、心の中で罵声をぶつける。
 もちろん、パチュリーだって今更そんな本で赤面するほど純情ではない。
 だが、目の前にあの日向の妖精がいるこの状況では非常にまずい気がした。

「ところで、これはどんな本なんですか?」
「え……」

 大妖精が興味津々に身を乗り出してきて、今までなかったほどに接近する。
 咄嗟に身を引く暇もない。パチュリーの視界いっぱいに緑の髪が広がり、あの草花と太陽の匂いに混じって、やけに甘ったるい香りが胸を満たした。
 それは、むせかえるほどに濃厚な花の蜜の香りだった。
 まるで麻薬に侵されたように、体が芯から熱くなった。頭がくらくらしてきて、パチュリーは熱い吐息を漏らしながら椅子に身を沈める。
 次の瞬間、唐突に全てを理解した。
 なぜ自分がこの日向の少女に心惹かれていたのか。
 そして、彼女をどうしたかったのか、ということを。

「……大妖精」
「はい?」

 きょとんとして顔を上げた大妖精に、パチュリーは優しく微笑みかける。

「この本がどんな内容か、知りたい?」
「あ、はい。できれば。貸して頂けますか?」

 大妖精がぱっと顔を輝かせる。ただ好奇心の赴くままに進む、行く先のことなど全く危惧していない少女の顔。
 背筋がぞくぞくするのを感じながら、パチュリーは小さく手招きした。

「じゃあ、こっちにいらっしゃい。少し難しいでしょうから、一緒に読んであげるわ。ああ、椅子はいいから」
「はあ……?」

 大妖精は少し不思議そうだったが、特に警戒するでもなく机を回り込んでパチュリーの隣に立った。

「そこじゃないわ。ここよ」
「えっ?」

 驚く大妖精を、強く抱き寄せて膝の上に座らせる。ひ弱なパチュリーでも強引に抱き寄せられるほど華奢で、思わずうっとりしてしまう。

「あ、あの、パチュリーさん?」
「一緒ならこの方が読みやすいでしょ」
「そうでしょうか……」
「貴女だってこうしているんじゃないの? きっとこの小さな膝を妖精達が取り合うんでしょうね」

 言いながら、パチュリーが大妖精の膝に手を乗せると、彼女は小さく悲鳴を上げた。

「どうしたの」
「あ、いえ、すみません、突然だったからびっくりしちゃって、その……」

 大妖精はもじもじして頬を赤らめたが、それは図書館では静かに、という決まりを破ってしまったが故のものであり、警戒心から発せられたものではないようだった。
 何という無防備さだろう。これから自分の手でどう変わっていくのかを考えるだけで、パチュリーは全身が震えそうになった。

「それじゃあ、読みましょうか」
「あ、はい」

 真面目な声で返事をする大妖精に微笑みながら、パチュリーは適当にページをめくる。
 挿し絵のついていない紙面はびっしりと文字で埋め尽くされていたが、内容は実に下品かつ低俗で、いかにもレミリアが好きそうな感じの文章が垂れ流されている。
 だが、この状況ではかえって好都合だった。

「じゃあ、大妖精。この単語、なんて読むか分かるかしら?」
「えっと……」

 パチュリーの膝の上で、大妖精が窮屈そうに身を屈める。

「すみません、分かりません」
「これはね、『愛撫』って読むのよ」
「あいぶ……?」
「そう。つまり、こういうことよ」

 パチュリーは大妖精の耳元で囁きながら、その瑞々しい頬にそっと手を這わせた。
 大妖精がまた悲鳴を上げる。

「図書館では静かに」
「す、すみません、けどあの、パチュリーさん……!?」
「どうしたの? 実演してみせた方が分かりやすいでしょう。ね……?」

 もう逃げられないように抱きすくめながら、両手で無遠慮に大妖精の体と顔を撫でさする。腕の中で少女が身を固くするのが伝わってきたが、気丈にも声が漏れるのは堪えているようだった。恐怖で声が出ないのではなく、この期に及んでもこちらを気遣って決まり事を守ろうとしているのだということが分かり、パチュリーは歓喜に胸を震わせる。
 全く、何という純真さ、いじらしさだろうか。暖かな日差しの下で育まれてきたのであろうそれを、黴臭い日陰の中で思う存分踏み荒らせるのだと思うと心が躍る。
 そんな倒錯した欲望を、パチュリーは大妖精に会うまで欠片も感じたことがなかった。陽に属する妖精の中においても飛び抜けて清らかなその香りは、日陰では絶対に生まれず、育まれることもないものだった。
 故にこそ、陰の中でも飛び抜けて陰気な自分は抵抗もなく侵されてしまったのだし、相手を侵す権利も持ち得ているのだと、パチュリーは確信している。
 
「貴女、この本の内容が知りたいのだったわね」
「は、はい……」
「これはね、睦言を描いた本よ」
「むつごと……?」
「そう……互いに身を寄せて、交わるの。こんな風にね」

 抱きしめる手に力を込めながら、パチュリーは白い首筋に唇を寄せる。親友のように歯を突き立てることはなかったが、代わりに吐息と舌で肌を濡らした。そのまま息を吸い込むと甘ったるい蜜の香りが胸を満たし、日向と日陰が溶け合い混じり合っていくような酩酊感に脳が痺れた。
 大妖精は身を固くしたまま、抵抗しない。後ろからでは表情が見えないのが残念だが、赤らんだ肌の熱さからして、彼女が今自分と同じような熱情の最中にあるのは考えずとも分かった。
 これから何をどう教え込んでやろうか。まずは柔肌の瑞々しさを存分に味わい、それから、

「――パチェ、なに、やってんの?」
「え?」

 唖然とした声に顔を上げると、いつの間にやら机の向こうに親友が立っていて。
 その傍らにいた鴉天狗が、無言のまま赤い顔でシャッターを切った。

 ◆

『大図書館、秘密の花園にて』

 文々。新聞一面の、センスの欠片もない見出しを見て、パチュリーは小さくため息を吐く。
 たまたまインタビューとかで館を回っていたレミリアと文に邪魔されて、せっかくの儀式は中断されてしまった。
 熱に浮かされていたような状態だった大妖精はハッと正気に立ち返ると声も上げずに走り去ってしまって、それから三日ほども姿を見せていない。
 館の主たるレミリアは親友の淫行に怒るどころかむしろ嬉嬉として協力する構えすら見せており、

「ね、次は誰、誰をさらってくる!? やっぱ悪魔の館なんだしこのぐらいはやらないとね!」

 などとやたら興奮した声でまとわりついてきたが、親友の求めているものと自分の求めているものが全く違うのは考えるまでもなく分かったので、きっぱりと断った。
 あの不思議な熱情は相手が大妖精だからこそのものだったし、外に出て彼女を捕まえてこようなどという気も全く起きない。
 ああいった儀式は日向でやるのにはふさわしくない。こういった日陰の世界でひそやかに行うからこそのものだ。それも無理矢理引きずり込むのではいけない。もっと自然に、溶け合うような流れの中で行われなくてはいけない。
 果たして花の蜜に誘われてあの淵に落ち込んだのがどちらだったのかは、今となってはもう分からないが。

「……よく撮れてるわね」

 目線が黒塗りされているが故にかえっていかがわしくなっている紙面の写真を、ぼんやり眺める。
 あのときは後ろからだったので見えなかったが、やはり大妖精も自分と同じように、熱に浮かされたような顔をしている。
 本当に、中途半端になってしまったことが残念でならない。
 そんなことを考えたとき、パチュリーはふとあの花の蜜の香りを嗅いだような気がして顔を上げた。
 新聞と机の向こうに日向の妖精が立っていて、頬を赤らめ潤んだ目でパチュリーを見つめていた。

「あ、あの……」

 か細い声で言いかけた大妖精は、パチュリーが読んでいた新聞に気づくと、熱っぽい吐息を漏らしながら身を縮めた。
 胸の辺りをぎゅっと押さえながらぼんやりした顔で微笑み、

「この写真はなにって、皆に聞かれちゃって……正確に話すためには、ちゃんと、教えてもらわなくちゃいけません、よね……?」

 艶っぽい目で見つめられて、パチュリーはうっとりと微笑み返す。
 その日、図書館の決まり事は主自らの手で破られることとなった。

 <終>
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