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【オリジナル】キモウトVS幼馴染(3)

いつかどこかに投稿したキモウト(キモい妹)のSSです。


『キモウトVS幼馴染(3)』



 珍しく机に向かって勉強していたら、部屋の扉がノックされた。

「お兄ちゃん、入ってもいい?」

 いいぞ、と答えると、とっておきの悪戯をする直前のような笑みを浮かべて、妹の純子が部屋に入ってきた。後ろ手に何かを隠している。純子は俺の眼前に立った。

「お兄ちゃん、プレゼントフォーユー!」

 純子が綺麗にラッピングされた包みを両手で差し出してくる。俺は無言でそれを受け取り、満面の笑みを浮かべた妹の顔をしげしげと見つめる。

「なんだこりゃ」
「だから、プレゼント」
「プレゼントって、なんかあったっけ?」

 俺の記憶では、向こう一ヶ月ほど、俺がプレゼントを渡されるようなイベントは一つもないはずだ。誕生日でもないし、バレンタインデーやらホワイトデーやらもとっくに終わっているし。そう思っていると、純子は手で口許を隠し、少し頬を染めて意味ありげな視線を送ってきた。

「ほら、来週わたしの誕生日だから」
「そりゃ知ってるが」

 確かに、来週の日曜は純子の誕生日だ。そろそろ何をプレゼントするか考えておかないといけないな、と思っていたから、もちろん忘れてはいない。

「でもお前、それだったら逆だろ。お前はプレゼントされる側であって、する側じゃない」
「その辺はね、その包みの中を見てもらえれば分かるよ」

 期待に輝く純子の瞳に後押しされるようにして、俺は出来る限り丁寧に包みを解く。中から、綺麗に畳まれたセーターが出てきた。厚手の毛糸で編まれているらしく、いかにも温かそうな一品だ。

「ごめんね、編むのに時間がかかっちゃって、ちょっと時期外れになっちゃったんだけど」
「それは別にいいけどさ。まだちょっと寒いし」

 俺はセーターを広げて、上から下までじっくりと眺めた。

「なんでこれが、さっきの疑問の答えになるんだ?」
「うん、つまりね」

 純子は少し俯き、もじもじと両手の指を絡ませながら恥ずかしそうに言う。

「わたしの誕生日にこれを着ててほしいなー、なんて」
「ああ、そういうことか」
「うん、そういうこと」

 微笑む純子の前で、しかし俺は警戒を緩めずにセーターをチェックする。

(衣類だから、食い物とかよりはいくらか安全だろうが)

 少なくとも媚薬とかの類は入っていないだろう。だがまだ安心は出来ない。俺が入念にセーターをチェックしていると、純子は悩ましげに太股の辺りを擦り合わせ始めた。

「やだお兄ちゃん、そんなに見られちゃ恥ずかしくてイッちゃうよ」
「イくな馬鹿。それで」

 ついに脇腹の辺りから何か黒いものがはみ出しているのを発見した俺は、ある種の予感を抱きながら純子に問いかけた。

「今回は、何を仕込んだんだ?」
「それはね、溢れ出さんばかりのお兄ちゃんへの愛情と欲情と」

 笑顔で人差し指を立てる。

「わたしが昨日抜き取ったばかりの陰毛」
「返す」

 純子の笑顔にセーターを押し付ける。

「ひどいよお兄ちゃん!」
「ひどいのはお前だ! 実の兄になんてもの着せようとしてんだお前は!?」
「一生懸命編んだのに!」
「普通に編むだけにしとけ。そして込めるのはせめて愛情だけにしてくれ」
「え、それは遠まわしなOKと受け取ってもいいの?」

 馬鹿がまた調子に乗り始めた。かすかに息を弾ませ、濡れた瞳でこちらを見つめてくる。俺は椅子に座ったまま後ろに下がろうとしたが、机があるので無理だった。そんな俺を見て、純子はいやらしい笑みを浮かべながら、飛び掛る直前の熊のように両腕を上げる。頼むから指をわきわきと蠢かせるのはやめてほしい。ついでに嫁入り前の娘だという自覚を持ってほしい。

「落ち着け純子」
「わたしは極めて限りなく冷静だよお兄ちゃん」
「だったら今すぐ回れ右して俺の部屋から出て行ってくれ」
「ごめんもう辛抱たまんないッス自分」
「全然冷静じゃないし」
「お兄ちゃーん!」

 純子がグッと膝を曲げる。飛びかかる予備動作だ。仕方がないので蹴って迎撃しようと身構える俺の横で、唐突に部屋の窓が開いた。

「ハァイ、浩二! 元気ぃ?」

 馬鹿に明るい能天気な声が響き渡る。ぎょっとして俺が横を見ると、開け放たれた窓から長い黒髪の美人さんが入ってきたところだった。隣の家に済んでいる香苗だ。

「って言うかお前、ここ二階で、しかも窓鍵かけてたはずなんだけど」
「開けた」
「どうやって……いや説明しなくてもいい、いろいろ怖いから」
「そう。ところで」

 香苗はきょとんとした顔で首を傾げた。さらさら流れる黒髪が実に美しい。

「なんか、取り込み中だった?」
「その通りだよ糞アマァ!!」

 憤怒の形相を浮かべた純子が、いつの間にか手に持っていた包丁を香苗に向かって突き出した。いつものことながらどこに持っていたのかは分からない。香苗の方は特に慌てることもなく、突き出された包丁の切っ先を二本の指でつかみ取った。苦笑気味にぺろっと舌を出してみせる。

「あー、そうだったかー。ごめんね純ちゃん」
「謝るんならさっさと出てけ! っつーかどこから入ってきてんだテメー、窓からお兄ちゃんの部屋に侵入していいのはわたしだけなんだよ!」
「お前にそんな許可をやった覚えはない!」

 俺の突っ込みはいつものことながら無視される。香苗は「んー」と唇に人差し指を当てて、思い出すように呟いた。

「でもさー、隣の家に住んでる幼馴染って、窓から入ってくるものじゃない?」
「どこの世界の常識だそれは」

 呆れる俺の前で、純子が獰猛な唸り声を上げた。

「非常識なビッチだぜ! 大体テメー、お兄ちゃんの部屋に窓から入ってきて何をするつもりなんだよ、えぇ?」
「それはもちろん」

 香苗は空いている手を頬に添えて、恥ずかしげに身をくねらせた。

「朝起こしてあげたりとか、添い寝してあげたりとか、元気だったら沈めるために○×△」
「変態、変態がいるよお兄ちゃん!」
「どの口が言ってんだ馬鹿」

 俺は少々動揺しながらおざなりに突っ込みをいれた。怒る純子の向こうから、どことなく切ない視線を送ってくる香苗を見ていると、なんだか胸がドキドキしてしまう。

「あー、お兄ちゃんが興奮してる!」
「してねえよ馬鹿!」
「やだもう浩二ったら、頼めばいつでもしてあげるよ? 一回一万円で」
「金取るのかよ!? しかも高ぇよ!」
「風俗よりは安いよ」
「なんでそれをお前が知っているんだと小一時間問い詰めたい」

 屈託のない笑みを浮かべる香苗に溜息をつく俺の前で、突然純子が馬鹿笑いを上げた。

「ついに馬脚を表したねこの泥棒猫! ほーらお兄ちゃん、この女に愛情なんて欠片もないんだよ! お兄ちゃんの体が目当てだったんだよ!」
「日常的に繰り広げられているお前の変態的行為と、どこがどう違うんだか聞いてみたいんだが」
「やだなあお兄ちゃんったら、わたしはちゃんと、お兄ちゃんの心も堕としたいと思ってるんだよ? 金目当てとか、そういう不純な動機じゃないの! 愛なのよこれは!」
「それは愛じゃなくて欲望というんだ」
「愛と肉欲の日々!」
「黙れ馬鹿」

 いい加減頭が痛くなってきたので、俺はこの馬鹿なやり取りをにこにこと機嫌良さそうに見守っている香苗に、手短に頼んだ。

「そろそろ黙らせてくれ」
「りょうかーい」

 目視できないほどの速さで香苗が動く……と思ったときには、既に彼女の細い腕が純子を締め落としているところだった。どことなく恍惚とした表情で、純子が難なく気を失う。

「最近落ちやすくなってきたねー純ちゃん」
「そりゃ、ほぼ毎日似たようなことを繰り返してりゃあな」

 ぼやく俺の前で、香苗はそっと純子の体を抱え上げて、傍らのベッドに移した。

「んふ。お兄ちゃんの臭い……」

 気絶状態だというのに寝言を言いながら、純子が涎を垂らして俺の枕に顔を埋める。後で枕カバーを変えなくちゃならん、と心に決めながら、俺は香苗に向かって片手を上げた。

「いつものことながらすまんな」
「別にいいよ? わたしも楽しんでやってるんだし」

 純子が編んだセーターを手に取りつつ、香苗がベッドの縁に腰掛ける。それから、わずかに咎めるような、困ったような顔でこちらを見た。

「でも、女の子のお腹を蹴ろうとするのはよくないと思うな」
「なんだ、見てたのかよ」
「見てたからあのタイミングで入ってきたの。あのままじゃ純ちゃん確実に飛び掛かって、浩二に空中でお腹蹴られてたと思うし」
「まあ、あの場合はそうでもしないとこの馬鹿を引き離せそうになかったからな。ああでも、一応言っておくと手加減はする気だった……って言い訳にならんか」

 溜息をつく俺の前で、香苗はくすくすとおかしそうに笑った。

「優しいねえ。わたしもね、浩二のそういうところ好きよ」
「やめろよ、照れるだろ」

 おそらく赤くなっているであろう俺の顔を、香苗は見ていなかった。手に持ったセーターの表面から、凄まじい速さで何かを抜き取っている。その作業は数秒後に終わった。

「でーきたっと。はい、どうぞ浩二」

 片手で俺にセーターを差し出してくる。もう片方の手は、何かを隠すように握り締められていた。俺はセーターを受け取りながら問いかける。

「何本ぐらい入ってた?」
「んーと、100本超えてたかなー」
「そんなにか!?」
「かなり念入りに隠されてたからねー。一本見つけられたのは運が良かったんじゃない?今回はずいぶん張り切ったね、純ちゃん。多分今つるつるなんじゃないかな」
「やめてくれ、つい想像しそうになっちまう」

 げんなりしつつ、俺はセーターを受け取った。陰毛が抜き取られた今なら、まあある程度は着るのに抵抗がなくなったといえる。
 無言で立ち上がり、押入れを引きあけて、布団の奥に隠されたカラーボックスを取り出す。蓋を開けると、中には種類様々な品々がきちんと整理されてしまわれていた。本当にいろいろなものがある。人形やら絵やら小瓶に入った謎の液体やら。その中に、丁寧に畳んだセーターを押し込む俺を見て、香苗が楽しそうに笑った。

「純ちゃんからのプレゼント、ずいぶんたまってきたねえ」
「ああ。ったく、参るよな。飾っとくとこの馬鹿が調子に乗るし、だからって捨てるのも忍びないし」
「やっぱり」
「あん?」

 何か含みのある声に振り向くと、香苗は機嫌良さそうに微笑んでこちらを見つめていた。

「浩二ってさ、あれだよね。ツンデレってやつ」
「何馬鹿なこと言ってんだ、ったく」

 俺はまた押入れの方を向いて、カラーボックスを布団の奥に押し込んだ。多分、またも赤くなっているであろう顔を香苗に見られるのは、なんとなく癪だった。

 ちなみに一週間後の誕生日、俺はあのセーターを着て純子の誕生日を祝ってやった。
 陰毛を抜き取ったことは説明してあったが、それでも妹は幸せそうだったので、まあ結果オーライといえるだろう。
 その夜、「誕生日にお兄ちゃんのお汁ちょうだーい!」だのと言って部屋に侵入してきた純子が、たまたま天井裏に潜んでいた香苗にいつも通り撃退されたのは言うまでもない。

 <了>
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