【モバマスSS】幸子「1000回腹パンされるRPG?」

以前SS速報VIPに投稿したSSです。
不思議のダンジョンネタで、台本形式です。
 





幸子「1000回腹パンされるRPG?」

紗南「っていうキャッチコピーのゲームがあるんだよね!」

幸子「オフなのに事務所に呼ばれたと思えばそんな……なんだか凄く嫌な予感がするんですが」

紗南「ゲームって言っても市販の奴じゃなくて、アマチュアの人がインターネットで無料配布してた、いわゆる同人のフリーゲームってやつなんだけど。これがなんと、うちのプロダクションのアイドルを題材にしてるらしいんだよね!」

幸子「肖像権とか商標権とかどうなってるんですか、それ?」

紗南「んー……その辺はやっぱり難しい話らしくて、大評判にも関わらず発表後すぐ配布が打ち切られたらしいんだけど。でもこの間、ちょっとしたきっかけでそのファイル手に入れたもんだからさ!これから幸子ちゃんにプレイしてもらいたいなーって!」

幸子「いやいや、そこでなんでボクですか? ゲームでしたら橘さん辺りにでも……」

紗南「だって、これ幸子ちゃんが主人公だし」

幸子「やっぱりそうですか! キャッチコピーからして多分そうだろうなとは思ってましたけどね!」

紗南「あ、やっぱりそういうの知ってるんだ?」

幸子「そりゃ多少は聞こえてきますよ……なんですか『腹パンしたいアイドルNo.1』って」

紗南「そんな通称があるのは知らなかったなー……でもまさか本当にされたことはないよね?」

幸子「本当にされたら大問題ですから……まあ、ファンの皆さんの妙な欲望を刺激してしまうのもボクがカワイイからこそですけどね! フフン♪」

紗南「うんうんそうだよねー、幸子ちゃんカワイイもんねー」

幸子「フフン、そうですよ、ボクはカワイイですから!」

紗南「だからねー、ゲームやってるところもすっごくカワイイと思うなー」

幸子「……あの、さすがにそれで乗せるのは無理がありますよ?」

紗南「えー」

幸子「はぁ……仕方ないですね、特別に付き合ってあげてもいいですよ?」

紗南「やった! さすが幸子ちゃん、カワイイ!」

幸子「段々適当になってきてますよね紗南さん……」

 ~事務所の一角、物置部屋~

幸子「でも、ボクはゲームってあまりやったことがないんですが」

紗南「あれ、でも前に皆でスマブラとか桃鉄とかやってたじゃない」

幸子「……プロデューサーさんがボクばっかり狙ってくるから面白くありませんでした」

紗南(あ、ふくれっ面カワイイ……なるほど、こりゃいいカモだわいろんな意味で)

幸子「まったくプロデューサーさんは……いくらボクがカワイイからって……ブツブツ」

紗南「あはは……まあ、大丈夫だよ。操作はそんなに難しくないはずだから」

幸子「え、でもそのゲーム、紗南さんはまだプレイしていないんですよね?」

紗南「そうだけど、多分似たようなのは結構やり込んでるから。トルネコとかシレンとか……」

幸子「はぁ……よく分かりませんけど、それでしたら大丈夫ですね」

紗南「うん、分かんないところはプレイしながら教えるから……えーっと、パッドをUSBに差しこんで……と、これでよし」

幸子「……物置部屋にある物とは言え、事務所のPCにゲームなんて入れてもいいんですか?」

紗南「大丈夫だよ、これ皆で使ってる共用の奴だから」

幸子「え、そうなんですか?」

紗南「こんな風に、オフの日に隠れてこっそり遊ぶときにねー。ここもほら、物置ってより隠れ家って感じでしょ?」

幸子「仮にも仕事場で一体何を……まあいいですけど」

紗南「お、みんな好き勝手にブクマやらアプリやら入れてるなぁ……折角だから名前毎にフォルダ整理してあげようかな。パン祭りはみちるさん、温泉特集は楓さん、ワインは志乃さん、アンチエイジング……見なかったことにしよう」

幸子「紗南さん?」

紗南「あ、ごめんごめん。こういうのは後回しだよね、あはは。じゃ、早速起動、と」

幸子「ん、このメロディ……?」

紗南「おお、『To my darling...』幸子ちゃんのデビュー曲のアレンジ版だね!」

幸子「……JASRACに通報した方がいいんでしょうかね?」

紗南「まあまあ。良く出来てるんだし、大目に見てあげようよ」

幸子「確かになかなかの再現度ではありますね。まあ、もちろん原曲には劣りますけどね、フフン♪」

紗南「これがOP曲かぁ……あ、OP画面で幸子ちゃんの立ち絵が出てきたよ!」

幸子「こちらもなかなかの再現度ですね」

紗南「本物のカワイさには負けるけどね!」

幸子「よく分かってるじゃないですか、紗南さん」

紗南「それにしても凝ってるなあ……最近のフリゲはやっぱりクオリティ高いや」

幸子「きっとボクの熱狂的なファンが作ったんですね! 特別に褒めてあげてもいいですよ!」

紗南「うんうん……あ、タイトルが表示された」

幸子「本当ですね。えーと、なになに……」

 『シンデレラガールズ外伝』

 『幸子の腹パン大冒険~理不尽なダンジョン~』

幸子「あの、もうやめていいですか?」

紗南「待って待って待って待って! 気持ちは分かるけど待って!」

幸子「クッ……前言撤回、このゲームを作った人はボクの陰湿なアンチに違いない……!」

 『このゲームはフィクションであり、実在の団体、人物とは一切関係ありません』

幸子「うそつき!」

紗南「まあまあ……こういうのはお約束だから、ね?」

幸子「むう……仕方ない、紗南さんに免じて許してあげますよ」

紗南「さすが幸子ちゃん、カワイイだけじゃなくて優しい!」

幸子「おだてなくてもいいですよ……まあ本当のことですけどね、フフン」

紗南(うーん……プロデューサーさんじゃないと褒めても効果が薄いんだ……わたしはギャルゲーの主人公にはなれないってことかー。いや、なりたいわけじゃないけど)

幸子「それで、どうすればいいんですか?」

紗南「えっと、まずはコンフィグでパッドのボタンの調整を……OK。スタートボタン押して」

幸子「はい……おや、何やら眼鏡をかけた冴えない顔立ちの、見覚えのあるキャラクターが……」

 P『……ふう、ろうどうはつらいなあ……』

紗南「あ、プロデューサーさんだ。ドット絵よく出来てるねー」

幸子「肖像権……」

紗南「まあまあ」

 P『でもみんなのためだからな。そう、可愛いアイドルたちのために』

  バタンッ!

 幸子『ボクを呼びましたね!』

紗南「あ、幸子ちゃんだ。こっちのドット絵も良く出来てるねー」

幸子「そうですか? なんだかちょっと雰囲気がお間抜けなような」

紗南「良く出来てるねー」

幸子「ちょっと」

 P『幸子か。別に呼んでないぞ』

 幸子『またまた。照れずにボクを崇め奉ってもいいんですよ、さぁさぁ!』

紗南「……良く出来てるねー」

幸子「さっきから微妙に棘を感じるんですがね?」

紗南「気のせい気のせい」

 P『はぁ……あ、そうだ、そんなカワイイお前にうってつけの仕事があるぞ』

 幸子『お仕事ですか? なんでしょう?』

 P『最近この事務所の近くに理不尽なダンジョンというのが出来てだな』

幸子「なんか凄いこと言い出しましたよこの人」

紗南「そこはほら、ゲームだから……」

 幸子『理不尽なダンジョン? なんですかそれ?』

 P『そのダンジョンにはたくさんの素敵な衣装とモバコインが落ちて、拾い放題なんだそうだ』

 幸子『なんだか凄いところですね!』

幸子「衣装はともかく……モバコインって?」

紗南「知らないのにどこかで聞いたことが……十連ガチャ……金ドブ……ちひろ……うっ、頭が……」

 P『ところがそのダンジョンにはアイドルもたくさんひしめいていてな、油断してるとやられてしまう上にレベルも1に戻ってアイテムも全て没収されてしまうんだ!』

 幸子『そ、それは恐ろし……い、いや、全然怖くありませんよ、ボクはカワイイですから!』

紗南「うんうん、お約束の流れだね」

幸子「よく分かりませんが……つまりやられると全てリセットということですか?」

紗南「そういうこと。でもプレイヤーが学んだテクニックは全部持ち越されるわけだからね。このシリーズはキャラクターじゃなくてプレイヤーが成長するRPGって言われてるんだよ」

 P 『そんなわけでだ、お前そのダンジョンに行って来い』

 幸子『な、なんでそうなるんですか!?』

 P 『カワイイ幸子には旅をさせないとな。それに他のアイドルやファンたちに、お前のカワイさを知らしめるいいチャンスだぞ』

 幸子『……プロデューサーさんはついてこないんですか?』

 P 『俺は仕事があるからなあ』

 幸子『ボク以上に優先する仕事なんかありませんよ!』

 P 『うん、だからお前のカワイさを最大限活かせる仕事を取るために頑張ってるんだ、俺』

 幸子『むう……そういうことなら仕方ありませんね。許してあげますよ、ボクはカワイイですから!』

 P 『ありがとう、幸子はカワイイな』

 幸子『えへへ』

幸子「……!!」

紗南「おお……ナデナデをドット絵で表現するとは。凄いこだわり」

幸子「な、こん……ぼ、ボク、こんなんじゃありませんですし!?」

紗南「はいはい、いいから進めようねー」

 幸子『……ちぇっ、プロデューサーさんはついてこないのか……』

 ピコーン!

 幸子『でも、ボクがそのダンジョンをクリアすれば、プロデューサーさんはもっとボクを褒めてくれるはず! よーし、頑張っちゃいますよー!』

紗南「あはは、カワイイなー」

幸子「……」

紗南(ぶすっとしてるこっちもカワイイなー)

 ザッザッザッザッザ……(足音)

 ~腹パン1回目~

 『原宿エリア 1F』

幸子「おや、画面が切り替わりましたね」

紗南「ダンジョンに入ったんだよ。多分これがちょっと不思議のダンジョンなんだろうね」

幸子「なんです、それ?」

紗南「入門編的な簡単なダンジョンって言うか……とりあえず歩いてみよう」

幸子「分かりました……おや、何かカードのような物が落ちてますね」

 『765モバコインを拾った!』

幸子「……」

紗南「……深く考えないでおこうか、なんか頭痛くなるし」

幸子「そうしましょう……あ、何か向こうの通路から見覚えのある人が歩いて来ましたよ」

紗南「あれは……多分卯月さんだね。こっちのドット絵も気合入ってるや」

幸子「ええと……どうするんです?」

紗南「そりゃ戦うんだよ。多分他のアイドルは皆敵だと思うし」

幸子「殺伐とした世界観ですね」

紗南「現実も似たようなもんでしょ、衣装取ったり取られたり……あ、この手のゲームではこっちが一回行動するごとにあっちも一回行動するルールだから」

幸子「分かりました。ええと、接近して……こ、攻撃するんですか?」

紗南「うん、そこの○ボタンに割り振ったから」

幸子「うーん、仲間に攻撃するのも気が引けますが……えいっ」

 『幸子はカワイく歌った! しまむらに5のダメージ!』

 『しまむらは幸子のカワイさにひれ伏した!』

幸子「あ、卯月さんが消えましたよ!」

紗南「あー、なるほど、こういう表現にしてあるんだ」

幸子「どういうことです?」

紗南「多分、敵を殴ったりして倒すんじゃなくて、歌や踊りで圧倒するんだよ」

幸子「ははあ……なるほど。まあ確かに、アイドルが暴力はまずいですもんね」

紗南「だね。さすがに制作者がファンだけあって配慮してるよ」
幸子「フフン、そういうことならどんどん進めましょうか! ボクのカワイさに勝てる人なんかいませんよ!」

紗南「あはは、そうだね……あ、また敵だ」

幸子「あれは……凛さんですか。制服姿ですね」

紗南「多分上位の敵になるとステージ衣装着てくるんじゃないかな」

幸子「よく分かりませんけど……よーし、またボクのカワイさで圧倒ですよ!」

紗南「あ、幸子ちゃん、その距離の詰め方だと先制攻撃を」

 ガスッ!

 『幸子は凛から腹パンを喰らった! 3ダメージ!』

幸子「」

紗南「」

幸子「えええぇぇぇぇっ!? ちょ、何でですか!?」

紗南「わ、分かんない……相手が凛さんだから……?」

幸子「よ、よく分かりませんけどともかく反撃を……えいっ!」

 『幸子はカワイく踊った! 凛に6ダメージ!』

 『凛は幸子のカワイさにひれ伏した!』

紗南「……こっちは普通だね」

幸子「さっきのは何だったんですか……バグ?」

紗南「いや、それにしては普通に腹パンのモーション用意されてたし……殴る方も殴られる方も」

幸子「うう、全く意味が……あ、今度は未央さんが来ましたよ」

紗南「……幸子ちゃん。ちょっと、わざと一発喰らってみない?」

幸子「え、でも……」

紗南「大丈夫、こんな序盤の敵なら一発喰らってもどうってことはないから」

幸子「分かりました……それじゃ」

 ボグッ!

 『幸子は未央から腹パンを喰らった! 2ダメージ!』

幸子「」

紗南「分かった、こっちはカワイさをアピールするけど敵は腹パンしてくるんだ!」

幸子「なんでですか!?」

紗南「いやー……多分、そういうゲームだからじゃないかと」

幸子「理不尽すぎますよ!」

紗南「ま、まあまあ。あ、ほら、また卯月さんが来たよ」

幸子「うう……で、出来るだけ殴られないように……」

 『幸子はカワイく笑った! ミス! しまむらは白けている!』

 ドムッ!

 『幸子はしまむらから腹パンを喰らった! 4ダメージ!』

 『幸子はカワイくポーズを決めた! ミス! しまむらは引いている!』

 ゴスッ!

 『幸子はしまむらから腹パンを喰らった! 3ダメージ!』

 『幸子はカワイくウインクした! ミス! しまむらは呆れている!』

 バキッ!

 『幸子はしまむらから腹パンを喰らった! 3ダメージ!』

幸子「うう、どんどんHPが……」

紗南「わー、三連続ミスとは運が悪いね。幸子ちゃん、ちょっと逃げよう? 歩いてればHP自然回復するはずだから」

幸子「分かりました……っていうかなんで腹パンの効果音が一回ずつ違うんですかね?」

紗南「多分製作者なりのこだわりじゃないかな」

幸子「こんなにボクと製作者で意識の差があるとは思わなかった……!」

紗南「あっ、通路の先の部屋に凛さんと未央さんが! さ、幸子ちゃん、止まらないと囲まれる!」

幸子「へ……?」

 ボグァッ!

 『幸子は凛に腹パンから喰らった! 3ダメージ!』

 ゴシカァン!

 『幸子は未央に腹パンから喰らった! 4ダメージ!』

 メメタァッ!

 『幸子はしまむらに腹パンから喰らった! 4ダメージ!』

幸子「リンチですよね!? これリンチですよね!?」

紗南「そ、そうだけどともかく脱出しないと、あ、ああっ……!」

 メキィッ!

 『幸子は凛に腹パンから喰らった! 4ダメージ!』

 『幸子は心折られてしまった……』

 ちゃらりらちゃらりらちゃらりらちゃらりらちゃらりーん♪

 P『おお幸子よ、ヘタれてしまうとはカワイイやつめ』

幸子「……」

紗南「……ええと、なんていうかその……」

幸子「……」

紗南「あ、あはは……ちょ、ちょっと悪趣味なゲームだったかな」

幸子「……」

紗南「あの……ごめん、怒ってる……?」

幸子「……フ。フフフフフ……!」

紗南「!?」

幸子「やってくれるじゃないですか……これはカワイイボクへの挑戦状と受け取りましたよ……!?」

紗南「さ、幸子ちゃん……?」

幸子「紗南さん!」

紗南「は、はい!」

幸子「是非ともボクにこのゲームのコツをレクチャーして下さい! このままでは終われません……!」

紗南「え……さ、再挑戦するってこと?」

幸子「当たり前ですよ! なんなんですかこのふざけたゲームは! 人のお腹をパンパンパンパン気軽に殴ってくれちゃって……!」

紗南「うんまあ、悪趣味だとは思うけど……」

幸子「こうなったら意地でもクリアして制作者の鼻を明かしてやりますよ! カワイイボクを怒らせたらどうなるかってことを思い知らせてあげます!」

紗南(わー。なんか変なスイッチ入っちゃってる。幸子ちゃんだったら涙目で投げるかもと思ってたけど……)

幸子「紗南さん?」

紗南「ああうん、オッケー! わたしもゲーマーだからね、幸子ちゃんがクリアできるまでしっかりサポートするよ!」

幸子「フフン、当然ですよ。ボクはカワイイですからね!」

紗南「じゃ、早速再チャレンジだ!」

 ~腹パン2回目~

 『幸子はカワイく胸を張った! 凛に6ダメージ!』

 『凛は幸子のカワイさにひれ伏した!』

 『幸子のレベルが上がった! カワイさに磨きがかかった!』

幸子「レベルアップしましたね!」

紗南「だね。これで2F辺りまでは安定するんじゃないかな。じゃ、次のフロアに進もっか」

幸子「分かりました」

 『原宿エリア 2F』

紗南(うーん……それにしても、ゲームとは言え幸子ちゃんが腹パンされてるのを何度も見せつけられるのはさすがにちょっとかわいそうだなー。製作者は良心が痛まなかったのかな?)

幸子「新しいフロアに着きましたね。見た目はあまり変わりませんが……」

紗南「そうだねー。あ、見慣れないアイテムが落ちてる」

幸子「あれは……ステージ衣装みたいですね。拾ってみましょう」

 『ロッキングスクールを拾った!』

紗南「あ、これ涼さんの衣装だ」

幸子「どうすればいいんでしょう?」

紗南「んー……多分防具なんじゃないかな? 装備できる?」

幸子「アイテム欄を開いて……装備、と」

 『幸子はロッキングスクールに着替えた!』

紗南「わっ、凄い、グラフィックが変わった!」

幸子「涼さんの衣装を着たボクですか。なかなか新鮮ですね」

紗南「そうだねー……あれ、なんか鏡取り出して……」

 幸子『フフン、さすがボク、何を着てもカワイイですね!』

 (キラキラ演出付きどや顔フルスクリーンCG)

紗南「……」

幸子「ふむ、なかなか凝った演出で」

紗南「幸子ちゃん、ちょっと離れたところに卯月さんがいるから一発殴られようか」

幸子「急に何を言い出すんです!?」

紗南「同情が一瞬で消えるこの絶妙なバランス、制作者はかなり分かってるね」

幸子「何を言ってるんですか全く……とにかく先に進みますよ」

 『幸子はカワイく舞った! しまむらに6ダメージ!』

 『しまむらは幸子のカワイさにひれ伏した!』

 『幸子はカワイく首を傾げた! 凛に7ダメージ!』

 『凛は幸子のカワイさにひれ伏した!』

幸子「フフン、さすがボク、向かうところ敵なしですね!」

紗南「そうだね、これなら一発二発喰らっても大丈夫だと思うよ」

幸子「紗南さんさっきからなんだかイラついてません?」

紗南「気のせいだよ気のせい……あれっ」

幸子「ん、何やら見たことのないキャラクターが……あのウサギの着ぐるみは」

紗南「仁奈ちゃんだね。あ、こっちに気付くと同時に逃げ出した……でも遅い。鈍足キャラかー」

幸子「おやおや、どうやらボーナスキャラクターのようですね! 追いかけて捕まえて、ボクのカワイさを教えてあげますよ!」

紗南「うわぁ」

 『幸子はカワイく投げキッスをした! ニナチャーンに4ダメージ!』

 ニナチャーン『イタいでごぜーます!』

 『ニナチャーンは泣き出した!』

紗南「うわぁ」

幸子「なんですか」

紗南「いやいいんだけどね……ゲームだし」

幸子「倒しきれなかったようですからもう一発」

 ピ――――――――ッ!(警笛)

 『さなえさんこっちです』

 早苗『ちょっと署まで来い』

 『早苗がワープしてきた!』

幸子「」

紗南「」

幸子「ちょ、なんですかこれ!?」

紗南「ちっちゃい子いじめるからだよ!」

幸子「ボクはただボクのカワイさを教えてあげようとですね……!」

紗南「ともかく逃げないと……早苗さんとか絶対強キャラ確定だし」

幸子「で、ですね。幸い現れた場所は遠いですから階段まで逃げれば何とか」

 ボゴォッ!

 『幸子は早苗に腹パンを喰らった! 15のダメージ!』

紗南「倍速キャラだこれ!」

幸子「そんな理不尽な!」

紗南「ああもう駄目だ、HPほとんど持ってかれたしアイテムもないし……」

幸子「こ、こうなったらイチかバチか反撃を……!」

 『幸子はカワイく謝った! ミス! 早苗の目が冷たくなった!』

 『早苗のアームロック!』

 幸子『がああああ』

紗南「それ以上いけない」

 『幸子に20のダメージ!』

 『幸子は心折られてしまった……』

 ちゃらりらちゃらりらちゃらりらちゃらりらちゃらりーん♪

 P『おお幸子よ、ヘタれてしまうとはカワイイやつめ』

紗南「……」

幸子「……」

紗南「……まあ、腹パンで倒されなかっただけマシなんじゃない?」

幸子「大差ないですから……!」

 ~腹パン3回目~

 『原宿エリア 3F』

幸子「逃げる仁奈さんは追わずにここまで来ました」

紗南「普通ああいうのはもうちょっと奥にいるもんなんだけどね……製作者は本当イイ性格してるよ」

幸子「こんな悪趣味なゲーム作る人が良い性格なわけありませんよ」

紗南「まあそれは置いといて、何個かアイテムも拾えたね」

幸子「そうですね。『ロッキングスクール』と『カワイイマイク』、あとは『スタミナドリンク』ですか」

紗南「マイクは武器でスタミナドリンクは満腹度回復アイテムだね」

幸子「満腹度?」

紗南「このゲームだと『スタミナ』って表現になってるけどね。ターンが経過するとどんどん減っていって、0になるとHPが減り始めるの」

幸子「なるほど、そうなる前にこれを飲んでスタミナを回復するわけですね」

紗南「そゆこと。あ、あとさ、操作にも慣れてきたことだし、設定確認してみる?」

幸子「設定ですか?」

紗南「そう、マップ表示とか移動速度とか……メニューの『設定』開いてみて」

幸子「分かりました」

 『移動速度』 遅い 普通 速い

 『メッセージ速度』 遅い 普通 速い

 『BGM音量』 小 ■■■□□ 大

 『効果音量』 小 ■■■□□ 大

 『キーコンフィグ』

 『マップ表示』 ON/OFF

 『師匠』 ON/OFF

幸子「……? 他のは分かるとして、一番下の『師匠』って何ですかね?」

紗南「さあ……? ON/OFFで切り替えられるみたいだけど。初心者救済のためのお助けキャラか何かかな? 一応ONのままにしておこうよ」

幸子「まあいいですけど……じゃ、進めますね」

紗南「うん。多分他にも厄介な能力持ちが出てくるはずだから注意しないとね」

幸子「嫌だなあ……」

 『ドカーンッ! スペシャルバズーカが腹に命中!』

 『幸子は8のダメージを受けた!』

幸子「な、何ですか突然!?」

紗南「間接攻撃だよ! ほら、通路の先……!」

幸子「あの眩しいデコは……麗奈さんですか!」

紗南「そうだね、あのデコは麗奈ちゃんだ!」

幸子「素晴らしい光り具合ですね!」

紗南「まったく、いい仕事してるよ!」

幸子「し、しかしどうしたら……まさかあんな距離から撃ってくるなんて」

紗南「クッ、普通通路の途中では敵に認識されないはずなのに……」

幸子「デコのおかげで見えるんじゃないですか」

紗南「なるほど、納得した」

幸子「逃げますか?」

紗南「いや、曲がり角も遠いし、ここはダメージ覚悟で近づいて」

 『ドカーンッ! スペシャルバズーカが暴発!』

 『麗奈は自爆した!』

紗南「……」

幸子「……」

紗南「行こっか」

幸子「そうですね」

 『ドカーンッ! スペシャルバズーカが暴発!』

 『ドカーンッ! スペシャルバズーカが暴発!』

 『ドカーンッ! スペシャルバズーカが暴発!』

 『ドカーンッ! スペシャルバズーカが暴発!』

 『ドカーンッ! スペシャルバズーカが腹に命中!』

 『幸子は8のダメージを受けた!』

幸子「あ、やっと当たった」

紗南「成功率低っ! 通路の途中でもこっちを見つけるせいで出会う前に倒れてる……」

幸子「何のために出てきてるんですかね、麗奈さん」

紗南「自爆するためじゃないかなあ」

幸子「まるで菜々さんですね」

紗南「駄目だよそういうこと言っちゃ……」

 『原宿エリア 4F』

紗南「やっとここまで来たね」

幸子「次はどなたが現れるんでしょうね」

紗南「さあ……誰が来ても多分厄介なんだろうけど」

幸子「皆さん麗奈さんみたいだったら楽なんですけどね」

紗南「それだとゲームが成り立たないから……」

幸子「ん……? 何か、あの部屋の入り口に見覚えのある人が立っているような」

 ちひろ『今だけ! 限定SHOPへようこそ!』

幸子「何やってるんですかねこの人」

紗南「まあいつも通りじゃないかな……」

幸子「ここはお店ですか」

紗南「そうだね。床に落ちてるアイテムを、例のモバコインで買うんだと思うよ」

幸子「ふむ……いろんな物が置いてありますね」

紗南「そうだね。衣装とドリンクとマイクと……」

幸子「……」

紗南「……」

幸子「……店に入ったときから気になっていたんですが、隅にある機械は何でしょうね?」

紗南「ガチャガチャ……みたいに見えるね」

 ちひろ『レアアイテムをGETするならガチャが一番!』
     
 ちひろ『今なら3000モバコインで10回回せますよ!』

紗南「わあ、これ絶対当たらないパターンだよ。3000っていったらほぼ今の全財産だし、ここは手堅く……」

幸子「……」

紗南「……幸子ちゃん?」

幸子「これは凄いですよ紗南さん、最強衣装である『自称・天使』が1.5%の確率で当たるとか」

紗南「ちょっと」

幸子「普通に買ったら500000もするそうですよ!それがたったの3000で手に入るとは……いや、1回300と考えれば利率はもっと高いですね……」

紗南「ねえ?」

幸子「これはもう、回すしか!」

紗南「やめよう!? 絶対当たらないってこんなの!」

幸子「フフン、大丈夫ですよ、ボクはカワイイですから!」

紗南「何の根拠にもなってない……!」

幸子「まあまあ、見ていて下さいよ。それっ!」(ガチャガチャ

 ちひろ『ありがとうございましたー』

紗南「……」

幸子「……」

紗南「当たらなかったね」

幸子「そうですね」

紗南「持ってたアイテムほぼ全部売ってまで回したのにね」

幸子「1.5%とか絶対嘘ですよあれ……いや、後一回回したらもしかしたら……?」

紗南(ギャンブルで破産する人のパターンだこれ)

幸子「ま、まあハズレとは言え回復アイテムは大量にゲットできましたし、良かったじゃないですか!」

紗南「うん……でもハズレの回復アイテムの名前、なんで『バニラ』なんだろうね?」

幸子「さあ……? 制作者さんがアイス好きなんじゃないですか?」

 『原宿エリア 5F』

 『押忍にゃんの正拳腹パン! 10ダメージ!』

 『珠キャンの突き! 腹に当たった! 12ダメージ!』

 『ユッキのフォークボール! 腹に当たった! 8ダメージ!』

紗南「この辺に来ると打撃が痛いキャラが増えてきたね……こまめに回復しないと」

幸子「まあ回復はバニラがあるから大丈夫ですけど……」

紗南「なに?」

幸子「いや、どうしてこの人たちは執拗にボクのお腹を狙って来るんですかね?」

紗南「わたしに聞かれても……」

 『原宿エリア 6F』

幸子「おや、あそこで寝転がっているのは……」

紗南「杏ちゃんだね」

幸子「……動きませんね。グラフィックからして寝ているわけではなさそうですが」

紗南「んー……マドハンド系かな? それとも、もざらし系……?」

幸子「よく分かりませんけど近づいて大丈夫なんですか?」

紗南「まあ、あんまり攻撃力高いとも思えないし……あ、一応上下には入らない方がいいかも」

幸子「分かりました……あれ、通路から入ってきたこのでっかいキャラは……」

紗南「きらりさんだね。わー、凄い楽しそうなモーション」

幸子「他のキャラより二回りほど大きいですね。現実でもゲームでもド迫力……あれ、きらりさんこっちに来ませんよ?」

紗南「本当だ、杏ちゃんの方に向かって……」

 きらり『うきゃー! 杏ちゃんカワイイにぃ☆』

 『きらりは全力で杏を抱きしめた!』

 ゴギィッ!

 『杏は逝ってしまった!』

 『きらりはレベルが上がった!』

幸子「」

紗南「おおう……キグニ族……!」

幸子「ちょ……な、なんなんですかアレ!?」

紗南「いやー、多分周りの敵キャラに攻撃して勝手にレベルが上がるタイプかと……」

幸子「何にしても逃げないと……!」

 きらり『うきゃー! 有香ちゃんカワイイにぃ☆』

 『きらりはレベルが上がった!』

 きらり『うきゃー! 麗奈ちゃんカワイイにぃ☆』

 『きらりはレベルが上がった!』

 きらり『うきゃー! ……あ、菜々さんお疲れ様です」

 『きらりは深々とお辞儀をした!』

紗南「くっ、やっぱり無差別か……!」

幸子「なんか今変なの混じってましたけど」

紗南「失敗したなあ。これならまだレベル上がりきらない内に倒しちゃった方が良かったかも」

幸子「今更言っても遅いですよ……あーっ、この先は行き止まり……!」

 きらり『うきゃー! 幸子ちゃんカワイイにぃ☆』

 『きらりLv37は全力で幸子を抱きしめた!』

 ベギィッ!

 『632ダメージ!』

 『幸子は腹から真っ二つになった!』

 『幸子は心折られてしまった……』

紗南「おおう……グロテスク」

幸子「心っていうか物理的にへし折られましたよ……うぷっ」

 P『おお幸子よ、ヘタれてしまうとはカワイイやつめ』

紗南「真っ二つになった幸子ちゃん見てもこう言えるって凄いよね」

幸子「まあ言いかねない人ではありますけどね……はぁ」

 ~腹パン7回目~

 『原宿エリア 6F』

幸子「ふう……やっとここまで戻って来ましたね」

紗南「そうだね。今度はきらりさんに気を付けないと……」

幸子「む。あちらから歩いてくるのは上条さんと志乃さんですか」

紗南「そーだね……ああ、予想通り志乃さんはふらついてる」

幸子「とりあえず真っすぐ歩いてくる上条さんから対処しましょう」

 上条『まあまあ眼鏡どうぞ』

 『幸子は無理矢理眼鏡をかけられた!』

 『幸子は目つぶし状態になった!』

幸子「何で!?」

紗南「度の合ってない眼鏡をかけられたとか……いや、それとも真っ黒いサングラス?」

幸子「うう、何も見えなくなりましたが正面に上条さんがいることは分かってますから、なんとか」

 志乃『少し飲まない?』

 『志乃は幸子の口にワイン瓶を突っ込んだ!』

 『幸子は混乱状態になった!』

幸子「どこが少し!?」

紗南「わーお、混乱と目つぶしのダブルパンチ」

幸子「ぐう……で、でもまだ諦めませんよ! 何とかこの窮地を脱して」

 きらり『にょわー!』

幸子「あ、詰んだ」

 P『おお幸子よ、ヘタれてしまうとはカワイイやつめ』

幸子「さすがにもう聞き飽きましたよ……」

紗南「んー、でもあれだよね、上条さんこれ見たら怒るかも。『わたしは決して相手に合わない眼鏡を勧めたりしません!』とか言って」

幸子「だからなんなんですか……」

 ~腹パン15回目~

 『原宿エリア 7F』

幸子「やっと6F突破ですよ……このゲーム難しすぎませんか?」

紗南「多分いかに幸子ちゃんに腹パンかますかが主題なんだろうから」

幸子「なんて時代ですか」

紗南「ともかく、製作者の性格からしてこの先も厄介な敵がいるのは間違いないから」

幸子「分かってます、油断はしませんよ……っと、あれは……」

紗南「かな子さんだね。嫌な予感……」

 『かな子はタックルしてきた!』

 ズドム!

 『腹に喰らって吹っ飛ばされた! 20ダメージ!』

幸子「今更ですけどこの製作者怖い者知らずですよね」

紗南「今行方不明らしいよ」

幸子「なにそれこわい」

紗南「あー、行き止まりに吹っ飛ばされちゃった」

幸子「通路の出口もかな子さんに塞がれてしまいましたね」

紗南「回復アイテムもないし、ワープもできないし……」

幸子「これはまたプロデューサーさんの顔を見なくちゃいけませんかね」

 ちひろ『そんなときにはガチャが一番!』

紗南「うわっ、なんか出てきた!?」

 ちひろ『今だけ! 確実に回復アイテムが出るガチャが回せますよ!』

紗南「さすがちひろさん!」

幸子「天使!」

 ちひろ『お値段はなんと500モバコインでーす!』

 現在の所持金:325モバコイン

紗南「さすがちひろさん!」

幸子「悪魔!」

 P『おお幸子よ、ヘタれてしまうとはカワイイやつめ』

 ~腹パン20回目~

 『原宿エリア 8F』

幸子「記念すべき20回目の挑戦ですよ」

紗南「初代トルネコだといい武器防具貸してもらえるんだけどね」

幸子「このゲームに限ってそんな都合のいいことは起こりませんね」

紗南「まあ分かっていたことではあるけどね……さあ、次は誰が出るか」

幸子「む、あちらに見える片目隠れっ子は……」

紗南「小梅ちゃんだね」

幸子「小梅さんがどんなことをしてくるのかは僕でも予想がつきますよ」

紗南「まあ、わたしも」

 小梅『爆発すれば……いいのに……』

 『小梅の呪い攻撃! ロッキングスクールは呪われてしまった!』

紗南「やっぱり呪い攻撃か」

幸子「呪われるとどうなるんです?」

紗南「装備が外せなくなるんだけど、まあ今はいいよね、今回どうせこれしか拾えてないし」

幸子「ですねえ……ん?」

 『小梅はあの子を呼びだした!』

紗南「……あの子?」

幸子「なんですかねこれ……?」

 ボゴッ!

 『幸子は見えない敵に腹パンを喰らった! 14ダメージ!』

紗南「うわっ、召喚キャラだった! しかも透明!」

幸子「こんなのもいるんですか……! えっ、あ、あの子っていうのはどっちに……!」

紗南「落ち着いて幸子ちゃん、こういうときはまず通路に……あ、あー……」

 P『おお幸子よ、ヘタれてしまうとはカワイイやつめ』

幸子「うう……本当理不尽ですよこれ……」

紗南「でもこれなら小梅ちゃん大満足だろうね」

幸子「そうでしょうね」

紗南「……でもこの制作者、『あの子』なんていうの知ってるなんて一体何者……?」

幸子「深くは考えないでおきましょうよ……」

 ~腹パン26回目~

紗南「今更だけどそろそろ幸子ちゃんの内臓が心配になってくるね」

幸子「もっと早く心配してもらいたかったですね」

 『原宿エリア 9F』

紗南「ともかくもうすぐゴールのはず……うわっ」

幸子「なんですか急に……うわっ」

紗南「……あの手をわきわきさせながら近づいてくるの……」

幸子「どう見ても棟方さんですね……」

紗南「……あのグラフィックからして、やっぱり……アレやってくるんだろうね」

幸子「逃げた方が良くないですか?」

紗南「ところがここは隅っこの行き止まり部屋なんだよね」

幸子「本当にもう……!」

 師匠『うひひ、いただきまーす!』

 『師匠は幸子の胸を揉んできた!』

幸子「やっぱり! ……紗南さん、なんですかその顔?」

紗南「いや、てっきり腹を揉んでくるのかなと思ってたから」

幸子「し、失礼な! 揉めるほど肉はありませんよ!」

紗南「それは腹の話? 胸の話?」

幸子「胸の方はありま」

 幸子『ん、あっ、あぁっ!』

 師匠『うひひ、よいではないかよいではないか』

幸子「ぶーっ!?」

紗南「画面が切り替わってエロCGにっ!? な、何これっ!?」

幸子「し、知りません、ぼ、ボクじゃないですよこんな破廉恥な……!」

 幸子『んっ、や、やめっ……あんっ!』

 師匠『ええのう、ええのう!』

紗南「う、うわぁ、何でここだけCGで」

 もにゅもにゅ

紗南「動画だこれ!? しかも超ハイクオリティー!」

幸子「何でもいいから止めてくださいよー!」

紗南「わ、私に言われても……あ、画面戻った」

 『2ダメージ!』

紗南「ダメージは大したことないのが逆に腹立たしいね」

幸子「ど、どうしたらいいんですかこれ……」

紗南「いやー、さすがに初回だけでしょ? 次は通常グラになると思うよ」

幸子「そうですかねえ……」

 師匠『うひひ、いただきまーす!』

 『師匠は幸子の胸を揉んできた!』

紗南「あ、画面が……」

 幸子『ん、あっ、あぁっ!』

 師匠『うひひ、よいではないかよいではないか』

紗南「毎回かっ!」

幸子「もう勘弁して下さい本当に」

紗南「えー、でもこんなのいくらなんでもテンポが……あ、分かった!」

幸子「え、なんです?」

紗南「設定だよ設定! 確か『師匠』って項目あったよね!?」

幸子「あ、そ、そう言えば……あった! これをOFFにすれば……」

 師匠『うひひ、いただきまーす!』

 『師匠は幸子の胸を揉んできた!』

 『1ダメージ!』

紗南「おお、やっぱり演出がカットされた」

幸子「なんなんですかこの無駄な機能は……!」

紗南「製作者なりのこだわり(ry」

幸子「こんなに意識の差があるとは(ry」

 幸子『幸子はカワイく半泣きで睨みつけた! 30ダメージ!』

 師匠『大きさじゃないんだよ……』

 『師匠は幸子のカワイさにひれ伏した!』

幸子「ふぅ……なんとか棟方さんを倒せましたね」

紗南「無駄に耐久力高かったしね……しかも倍速」

幸子「ダメージが少ないのはまあ良かったですけど……おや」

紗南「あ、あの眼鏡かけたスーツ姿の人……!」

幸子「プロデューサーさん……? でもOPで仕事が忙しいから来ないとかなんとか」

紗南「いや、多分あれは同グラの敵キャラだよ」

幸子「紛らわしいですね……」

紗南「ん、プロデューサーさんはこっちに向かってこないね」

幸子「むー……こんなにカワイイボクを放って一体どこに……」

紗南「あ、千枝ちゃんがいる」

幸子「あー、これ千枝さんをスカウトした途端に早苗さんが来るってパターンですかね?」

紗南「あはは、それっぽいね。まあ今度はレベルも上がってるしきっと何とか」

 P『やあ君、いいカラダしてるね! アイドルにならない?』

 ヒューン!

 『まゆが飛んできた!』

 『加蓮が飛んできた!』

 『智絵里が飛んできた!』

 『ありすが飛んできた!』

紗南「なんか重い人たちが来ちゃったーっ!?」

幸子「え、重いって……?」

紗南(あっ、そうか、幸子ちゃんもどっちかと言うとあっち寄りだから……)

幸子「よく分かりませんけど、一気に敵が増えてしまいましたね」

紗南「そうだね……っていうかプロデューサーさんはこの状況どうするんだろう……?」

 『Pはどこかへ行ってしまった!』

幸子「逃げた!」

紗南「最低だ! でも気持ちは分かる!」

幸子「ああでも、ボクも逃げないと……」

紗南「そうだね、とりあえず通路に……」

 まゆ『あなたたち……邪魔』

 『わくわくさんはどこかへ行ってしまった!』

 『智絵里はどこかへ行ってしまった!』

 『ありすはどこかへ行ってしまった!』

紗南「行かされたの間違いじゃないの!?」

幸子「いや、これはチャンスですよ、おかげで敵が減っ」

 『まゆのレベルが3上がった!』

二人(アカン)

 『原宿エリア 10F』

幸子「……なんとか逃げ切れましたね」

紗南「そうだね……もう駄目かと思ったけど」

幸子「行く先々の敵をことごとく倒してどんどんレベルが上がっていくんですから、まゆさんは」

紗南「途中でプロデューサーがもう一人いなかったら完全にアウトだったよ」

幸子「おかげでまゆさんそっちに向かいましたけど……あのプロデューサーさんはどうなったんですかね……?」

紗南「考えない方がいいんじゃないかな」

幸子「そうなんでしょうねえ……」

紗南「で、えーと、初代トルネコだと最初のダンジョンは10Fで終わりなんだけど」

幸子「そうなんですか?」

紗南「うん……でも最近だと最下層にボスキャラがいたりするんだよね」

幸子「え……ぼ、ボスキャラって、アイテムはまゆさんから逃げるために使い切っちゃいましたよ?」

紗南「そうなんだよね……」

幸子「うう……ここまで来てまたやり直しですか……?」

紗南「分かんないよ。ボスキャラがどのぐらい強いかにもよるし」

幸子「うーん、ボスキャラですか……原宿エリアのボスキャラ……」

 みく『みくは自分を曲げないよ!』

紗南「忠実だね」

幸子「忠実ですね」

紗南「え、忠実って、何に?」

幸子「いや知りませんけど……強いんですかね前川さん」

紗南「どうかな……最初のダンジョンだし、そこまで無茶な強さではないと思うけど」

幸子「もうアイテムもないですし、とりあえず接近して攻撃してみましょうか」

 『幸子はカワイく笑った! 40ダメージ!』

 『みくは幸子のカワイさにひれ伏した!』

紗南「よわっ!」

 みく『え……ひどくない?』

幸子「ボクに言われましても……」

 『原宿エリアを制覇した!』

紗南「あ、クリアみたいだね」

幸子「やっとですか……疲れましたよ本当に」

 幸子『プロデューサーさん!』

 P『おお幸子、戻ったのか。どうだった、ダンジョンは』

 幸子『フフン、誰に聞いているんですか、ボクにかかればあんなの散歩みたいなものですよ』

紗南「あんだけ腹パンされてもこう言えるのは凄いね」

幸子「フフン、まあ当然ですね、ボクはカワイイですから!」

紗南(正直幸子ちゃんの再現度が一番高いよねこのゲーム……)

 P『そうかそうか、さすが幸子だな。俺もお前の担当として鼻が高いよ』

 幸子『フフン、もっと褒めてくれてもいいんですよ!』

 P『偉い偉い、本当カワイイよ幸子』

 幸子『えへへ』

紗南「お、職人芸のナデナデグラ」

幸子「うー……」

紗南(カワイイ)

 P『でもな幸子、原宿エリアなんてまだ序の口だぞ』

 幸子『え、どういうことですか?』

 P『理不尽なダンジョンはまだまだたくさんあるんだ』

 P『他のエリアにはもっと強力なライバルがひしめいてるって話だぞ』

 幸子『フフン、プロデューサーさんもまだまだボクのことが分かってませんね!』

 幸子『誰が来ようともボクが負けるなんてあり得ませんよ! だってボクはカワイイですから!』

 P『おー、さすが幸子だ。じゃあ次のダンジョンでもお前のカワイさを知らしめてやれよ!』

 幸子『任せておいて下さいよ! フフフーン♪』

紗南「……と、あっちの幸子ちゃんは言ってるけど、どうする?」

幸子「さすがに今日はここまでにしておきますよ……目が痛いですし」

紗南「痛いのはお腹じゃないの?」

幸子「そっちも多少は……ゲームとは言えああもパンパン殴られたら気分が悪くなります。本当イカれてますよこの製作者は」

紗南「だねえ……あはは、なんか無理させちゃったみたいでごめんね?」

幸子「む……フフン、まあ許してあげますよ、ボクはカワイイですから!」

紗南「あはは、ありがとう……本当、そう思うよ」

 ――こうして休日ほぼ丸一日かけた幸子の冒険は幕を閉じた。

 ――と、二人は思っていたのだが。

 ――1週間後。

 ~事務所~

奈緒「だからさー、池袋エリアがきつくてなかなかクリアできないんだよ」

加蓮「うんうん。法子のドーナツ投げきついよね」

凛「でも法子にパン投げれば一発で倒せるじゃん」

奈緒「マジで」

凛「みちるにはドーナツ投げればいいしね」

加蓮「知らなかったー」


輝子「フフ……ゲームでも友達いっぱい……う、うれしい」

麗奈「クッ、自分がキノコ大量召喚する強キャラだからって調子に乗ってるわね!」

未央「まあまあ……茜ちゃんのキャラも酷いよね、『ファイヤーっ!』とか言ってるからって、火を吹いてアイテム一つ燃やすキャラにされるなんて」

茜「はい! 次はアイテム全部燃やせるように頑張りますっ!」

未央「いや、そっちじゃなくて」


ありす「何故わたしが重いキャラ勢揃いの『ヘビーハウス』の一員に……」

川島「わかるわ」

美波「あの……いくらなんでも『エロハウス』はあんまりだと思うんです」

川島「わかるわ」

卯月「川島さんが大量に出現する『わかるわハウス』って一体何なんですか?」

川島「わからないわ……」


幸子「どうしてこうなった」

紗南「いやー、すっかり流行しちゃったねー。普段ゲームやらない人たちまでハマッちゃうとは」

幸子「……どうしてこうなった」

紗南「ごめんねー。あの後データ消すの忘れてて、誰かに見つかっちゃったみたいでさー」

幸子「……」

紗南「まあ……良かったよね、やっぱりいい物は世に知られないと!」

幸子「良くないですよ! 最近皆さんのボクのお腹を見る目がなんか怖いんですよ!?」

紗南「あちゃー……ご愁傷様」

幸子「うぅぅぅぅぅ……あのゲームの存在をこの世から抹消するにはどうしたら」

仁奈「さちこおねーさん、さちこおねーさん」

幸子「ん、なんですか仁奈さん……薫さんも」

薫「あのねあのね、かおるたち、さちこさんに教えてもらいたくて!」

幸子「教える……フフン、宿題か何かですか? 仕方ないですね、優しくてカワイイ僕が特別に」

仁奈「違いやがります!」

薫「そうじゃなくて、あのゲームだよ!」

幸子「え……ゲームって、まさか」

二人「「幸子の腹パン大冒険!」」

幸子「」

紗南「あらー……二人もやってるんだ」

仁奈「原宿エリアが難しくてクリアできねーでごぜーます」

薫「さちこさんが一番早くクリアしたって聞いたから、コツを教えてほしいの!」

紗南「わー、頼られてるね、幸子ちゃん」

幸子「……ボク、なんだかお腹が痛くなってきたんですが……」

紗南「あはは、大丈夫だよ、幸子ちゃんはカワイイから!」

幸子「それで動くほど安い女ですか、ボクは!?」

仁奈「おねーさん……」

薫「駄目なの……?」

幸子「うぐっ……う、ううう……」

P「おーい、何やってるんだ、みんな?」

幸子「! プロデューサーさん……!」

紗南「いや、ちょっとゲームの話をね」

P「ゲーム……あー、もしかしてあれか、幸子のやつ!」

幸子「えっ……も、もしかしてプロデューサーさんも……?」

P「おー、やってるぞ。まあ時間ないし下手くそだから原宿もクリアできてないけどな!」

薫「あはは、せんせぇ駄目駄目だー!」

仁奈「仁奈たちとおそろいでやがりますね!」

P「おお、そうだったのか。みんなやってるんだなー、あれ。難しいけど面白いもんな。幸子のドット絵も凄いいい出来でカワイイし」

幸子「え、カワイイ?」

P「ああ。幸子の魅力がしっかり表現されてると思うぞ。まあ腹パン云々はさすがにプロデューサーとしてはちょっと容認できないけどな」

幸子「……」

薫「かおるたち、さちこさんにあのゲームのコツを教えてもらおうと思ってたんだよ!」

幸子「! いや、それは」

P「へえ、そうなのか? まあ幸子はカワイイだけじゃなくて頭もいいからな。俺と違ってああいうゲームも簡単にクリア出来ちゃうんだろうな」

幸子「……!!」

紗南(おお、幸子ちゃんの表情が見る見る内に……!さすがプロデューサー、歩く幸子攻略本と言われるだけのことはある!)※言われてません

P「じゃあ、折角だから俺にも教えてくれないか?」

幸子「え、プロデューサーさんにも……!?」

P「ああ。もちろん仕事が終わって時間の空いてるときにな」

薫「やったぁ! じゃあみんなでやろうよ!」

P「そうだな、折角だからな」

仁奈「やったでごぜーます!」

幸子「……」

紗南「……どうすんの、幸子ちゃん?」

幸子「ふ、フフフフ……」

紗南「幸子ちゃん?」

幸子「いや、仕方ないですね! 皆さんがそこまで仰るのなら! 特別に! このカワイイボクが! 皆さんを見事クリア―まで導いて差し上げようじゃありませんか!」

P「おー、さすが幸子!」

薫「さちこさんかっこいい!」

仁奈「かっこいいでごぜーます!」

幸子「フフン、それを言うならカワイイの間違いですよ!ま、どーんと! 大船に乗ったつもりで! フフフフーン♪」

 キャッキャウフフ

紗南「……あらら、あんなに嫌がってたのに……こうかはばつぐんだ! って感じ」

紗南「やっぱりカワイイね、幸子ちゃんは!」

 終わり(だが幸子の腹パンはまだまだ続く)
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